| 精工舎/12インチ頭丸掛け時計 | 
    
    
      | 最終更新 2008年12月25日 | 
    
    
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            | 概略寸法 | 
            全長60cm×頭丸径39cm×厚み12cm | 
           
          
            | 文字板 | 
            12インチ(約30cm)鉄板貼り紙文字板 | 
           
          
            | 仕 様 | 
            8日巻/渦ボン打ち | 
           
          
            | 時 代 | 
            昭和初期頃 | 
           
        
       
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      精工舎(服部時計店)は明治25年、創業者服部金太郎により東京市本所区石原町に産声を上げます。翌年には同区柳島町に移転し、それまでの家内工業的製造から動力を導入し本格的な時計製造が始まりました。工場移転後の発展は目覚ましく、10年を経ずにして早くも国内トップクラスの大時計メーカーに成長しています。今や世界に冠たる「SEIKO」ブランドとなったセイコーホールディングスの礎は、この頃より着実に築かれ続けて来たと言っていいでしょう。 
       
      この時計は昭和初期頃と思われる人気の12インチ頭丸掛け時計です。大きな頭と左右の手を腰に当てたようにも見える飾り模様から「オバQ」などと呼ばれることもあるようです。12インチの大きな丸型時計本体下にスクウェアデザインの振り子室と大きなガラス窓が大変目を引き、どこかユーモラスな風情も感じさせます。機械は8インチからほぼ共通の仕様かと思われますが、木地の美しい存在感ある時計ではないでしょうか。 | 
    
    
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      入手時状態 
      パッと見、筐体自身にほとんど傷みはありません。しかし、青白っぽい絵の具が乾いたような汚れが表面・側面の塗装面全体に広がっており、時計動作も不能というジャンク品で入手しました。不良原因も入手時点ではもちろん不明です。 
      裏面の上部には小さなシールが貼ってあり、保険証のようなものの切れ端のようです。また、下側の金具は壁掛けの際傾き防止の固定のため釘を打つのに利用するものです。 | 
    
    
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      機械 
      振り子室から覗いて両ゼンマイとも緩んでいることは分かっていました。そこで文字板を外してみたのですが、その様子がこの写真です・・・・^^; 「オイオイ両方(切れてるの)かよ!」と、思わず口に出たほど・・・・ 
      それでも気を取り直し一応両ゼンマイ巻いてみて、けっこう力はあるし切れてる訳ではなさそうです。ただ手を放すとグインと戻ってしまい、どうやら両ゼンマイともラチェットが働いてないのは明らかでした。確認すると右側(時計側)は爪を押さえるバネ自身が紛失し、左側もバネこそ残ってるもののすっかり延びちゃってるようでほとんどテンションがありません。 
      尚、地板の左下に精工舎の「鍵S」マークがあります。 | 
    
    
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      メンテ開始 
      メンテのため外せる部材を一旦筐体から外します。 
      文字板はオリジナルの紙文字板でブリキ板に貼り付けられています。多少のシミはありますが遠目にはそれほど目立ちません。ガラスはゆらゆらガラスで取り外した跡もなくオリジナルのままでしょう。 
      機械は上2本、下4本止めで昭和に入ってのものでしょう。アンクル支点の留め具が針金ではなく黒いプレス板なのも比較的新しい証拠です。 | 
    
    
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      テンションバネ製作 
      ラチェット爪を手で押して引っかけてやるとある程度ゼンマイを巻き上げられます。ゼンマイで怪我をしないようその方法である程度巻き上げ、針金を巻いてしっかり固定します。更に巻き鍵を手で押さえながらラチェット爪を外し、巻いた針金に密着して収まるまで緩めておけば完璧です。これでゼンマイの力が部材に掛からないため安心。地板を外したりゼンマイ交換しなくても、ゼンマイ周りを弄る時は万が一の用心です。 
      続いて径1mmのピアノ線を用意し、ヤットコで曲げながらラチェット爪用のテンションバネを手作りします。 
      この種のトーションスプリングを自作する時は数種の太さのピアノ線と、ステンレスやリン青銅のバネ材があるとあれこれ利用出来ます。前者はホームセンターで、後者はプレス会社で半端材などもらえるといいですね。 | 
    
    
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      ラチェット修理 
      今回は最終的に右画像のようなバネを手作りし、ゼンマイの一番車に引っ掛けて取り付けました。 
      何本か作っては試し、ラチェットの爪をあまり強く押すより軽く触れるか触れないか程度が一番安定するようでした。この形状を採用したのは引っ掛けるだけでバネ浮きを上手く防止でき、他の歯車と干渉することなく乱暴な巻き上げにも堪えたことによります。 
      左写真でバネの右側は元々のバネ固定部であった切り出し部分に引っ掛け(上の歯車に隠れて見えませんが)、左側は先端を曲げて歯車の内側に軽く引っ掛けています。この時外れないよう開き方向にわずかなテンションを掛けると同時に、先端の曲げ方向を工夫しバネ自身も常時歯車面に押しつけられるようなテンションを軽くかけるようにします。これで外れることはありません。一応筆者は機械設計もやりますので
      (^_^)v 
      反対側(ボン側)のゼンマイも基本的に同じです。 | 
    
    
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      振りベラ修理 
      振り子は振れるようになったのですが、振りベラがやっと止まってることに気づきました。案の定下に少し強く引っ張ると簡単に支点から抜けてしまいます。そこでベラ先端部分に曲げ癖を付けて付け直し、念のため支点に細針金を巻いて締め付け固定しておきます。 | 
    
    
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      筐体清掃 
      次の問題は筐体の汚れ。 
      何がこぼれたのかこぼしたのか、これが塗装面全体にしっかり染みついて水拭き程度ではまったく落ちません。カッターでカリカリ引っ掻くと落ちるようなのですが、塗装面を傷めては身も蓋もないし・・・・。そこであれこれ試し、けっきょく拭き掃除用洗剤を付けて根気よく拭き上げるのがベストでした。翌日はしっかり筋肉痛が・・・・^^; | 
    
    
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      レストア完了機械 
      洗浄、再注油をしてきれいに蘇った機械を元通り取り付けレストア完了です。 
      あらためてゼンマイを巻き、修理したラチェット部に問題ないことも再確認。 | 
    
    
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      試運転と振り子室ラベル 
      いつものように壁に掛け2週間ほど試運転。動作はもちろんゼンマイの巻き上げにも問題ないことを確認します。 
      最後に文字板と針を付け直しレストア完了。めだたしめでたし! 
      右の振り子室ラベルは多少のスレなどあるものの、破れはないしまあまあでしょうか。赤ラベルは当時の販売店のものです。 | 
    
    
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      | 新規追加 2008年11月20日 | 
    
    
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