米 メーカー不明/EARLY BIRD 目覚まし時計 |
新規追加 2010年 6月20日 |
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概略寸法 |
全高12cm×幅11cm×厚み5cm (突起部除く) |
文字板 |
ブリキ貼り紙文字板/約φ10cm |
仕 様 |
毎日巻き/内蔵リン打ちアラーム |
時 代 |
1940〜50年代頃 |
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文字板に 「EARLY BIRD」 とあるメーカー不明のアメリカ製目覚まし時計です。なんてこと無いチープな量産目覚ましですが、時代の雰囲気を良く出した可愛い時計です。
この種のアメリカ製目覚ましは Ingraham Gilbert Waterbury など有名古時計ブランドをはじめ、特に
Westclox のように専業?ブランドとして名高い会社まで数多くあります。この時計
Early Bird(早起きの人の意) がどこのなんて会社が作ったのか、あるいはブランド名なのかもまったく分かりません。留めネジを含む機械配置や針形状のまったく同じ時計が
Westclox であり、ひょっとして同社製か同社のOEMかも知れません。おそらく販売元はその他大勢というのか、中小時計会社の中の一つなのでしょう。
後述のようにいかにも「お安く作りました!」ってなチープ感は否めませんが、そこが逆にこの種の時計最大の魅力でもあると思います。ん10万、時には、ん100万もするスリゲルはお金持ちに任せましょう。対極のこちらは筆者のような貧乏人御用達! ジャンクなら持ってけドロボー!ってな値段で入手できますからね。 |
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入手時外観
入手時外観はご覧の通り・・・・^^;
錆び錆びで、傷だらけで、塗装は剥げ剥げ。おまけに目覚ましボタンと台座は歪み、ゼンマイツマミはおろか機械を留めるネジまで4本とも紛失。どうにもならんだろ!ってなくらいくたびれた完全ジャンク目覚まし時計?
これでガラスまで割れてたらさすがの筆者も手を出さなかったでしょう、たぶん!
裏面にはアメリカ製を示す刻印があり、振るとミミズをくわえた鳥がシーソーのように動きますが動作音はしません。見るからに量産おもちゃ時計の雰囲気? |
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文字板飾り枠外し
これがなんとも大変でした・・・・^^;
裏蓋はなく表側から組み付けられる、この種のアメリカ製目覚ましに良くある作りの時計です。知らないとどうやってバラすのか戸惑ってしまいますが、文字板の飾り枠が筐体へ圧入となっていて、表側から機械他すべての部材を取り出すことになります。
同種の時計をいくつかバラしてそれは分かっていましたが、その飾り枠が錆によりガッチリくっついちゃって・・・・^^; 油を差しながらヘラ状に削った竹箸をあてがって、金槌でコツコツ叩くことなんと2時間・・・・さすがに疲れた! 機械は留められてないしガラス割っちゃったらまずいしと・・・・
実は単に錆ばかりでなく、枠の圧入そのものが非常に固かったことによります。これほど強い圧入でなくても、同時期の国産機では筐体側にヒビ割れの起きてる時計が多々あります。その点、さすが当時のアメリカは日本よりかなり進んだプレス絞り技術を持っていたようです。おそらく材料も日本製よりはるかにバラツキ無く良い品質だったのでしょう。
文字板は印刷された厚紙を下写真でも分かるようにブリキのベースに貼り付けたものです。そのベースは4個所に爪が切り出され、機械地板の穴に差し込み曲げて取り付けられています。 |
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入手時機械
それなりの綿埃に加え、やはり時計側ゼンマイは切れていました。
裏蓋を叩けないこの種の目覚ましでは小さなリンが内蔵され、それをハンマーで叩くようになっています。とは言え、そのリンの留めが片側外れて斜めになっており、現状では上手く鳴りませんでした(左上)。
時計ゼンマイは切れていて、機械全体も油っ気無く鉄部材には錆もみられます。小さな機械は薄い地板を四隅のアルミポストで繋ぎ、歯車の軸もアルミに鉄の芯を埋め込んだ当時の廉価品に良くあるものです。
この種の薄い地板は強度的に劣るためゼンマイの力に耐えきれず軸が穴から外れたり、右下写真のように膨れ上がったりしていることがたびたびあります。中国製のリプロ時計等も多くは薄く質の悪い地板を使っているため注意が必要です。
バラして地板の一部を曲げフランジとしたり、補強材を付けたり、あるいは軸に横穴を開けて針金を差し込んだり、あれこれ修正は可能ですがそれなりに面倒ではあります。
掛け時計(もちろん置き時計でもありますが)では表面に線状の凸部を設けた地板をよく見かけます。いわゆるコルゲーション(プレス用語ならビード)加工ですが、国産では戦中戦後の物資不足中の掛け時計によく見られます。上述のような強度の落ちる地板でも変形が起きないよう補強しているんですね。 |
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機械部品
ゼンマイ交換のためバラした機械の部品類です。
前述のように多くの歯車でアルミ軸に細い鉄芯となっているのが分かると思います。切れた時計ゼンマイは外し、手持ち同寸法の交換ゼンマイを用意します。 |
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ゼンマイ交換
新しいゼンマイに交換し機械を組み上げます。
用意した交換ゼンマイはオリジナルと違い先端が引っ掛けタイプですが、アルミポストが太くて針金で縛り付けたままでは上手く差し込めません。そこで一旦針金をほどき、上写真のように広げてから先端を引っ掛けゼンマイを巻き取りました。アンクルまで事前に組んでおきましたので、ゼンマイを巻き上げても緩むことはありません。
最後にリンを取り付けてOK! 地板にロゴなど刻印はありません。 |
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機械メンテ
テンプを取り付け注油メンテを行います。
上写真左はまだテンプを付けてない状態(テンプは奥側)、右はテンプを付けています。右端でアンクルの鉄芯が長く延びているのはここに鳥を差し込むためです。
錆止めも兼ね機械全体に556を吹き、エアーでよく飛ばしてからしばらく静置。あらためて軸受けやテンプ周りに注油して機械メンテ完了。下写真のように元気に復活しました。 |
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組み立て
筐体枠に機械など組み込み完成させます。
上がった機械に文字板を取り付けます。それを筐体に入れて裏面から紛失していた留めネジに代わり、手持ち4本のマイナスネジを使用して固定します。
目覚まし時間(目安針の指示時間)に合わせて針を取り付け、アンクル軸には小鳥を差し込みます。最後にガラスを載せ文字板飾り枠を嵌め込んで完成。小鳥はアンクルの振動に合わせ右下写真のように足を中心にシーソーのように上下動します。 |
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レストア完了
単なるボロじゃん・・・っと思うか、いい雰囲気でてるね〜・・・っと思うかは個人個人で受け取りも様々でしょう。筆者的にはけっこう気に入ってます。何度も言って来ましたが時代を反映したかのようなチープな雰囲気がなんとも懐かしさを誘いませんか? 紛失したゼンマイツマミは手持ち部品を使用し、完動品として蘇りました。 |
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