収穫/乾燥
 
筆者は生産者でも、もちろん植物学者でもありません。あくまで自己流且つ経験則に基づくお話です。
 
収穫
産地での露地栽培がどうなのか詳しく知りませんが、当家の室内栽培では決まった時期がないとはいえ一応晩秋から春先に掛けてのおよそ半年間が収穫のメインとなります。主に春から夏にかけて開花後、およそ半年から1年掛けて実はゆっくり生長し色づいてきます。
本来コーヒーの果実はレッドチェリーとも言われるように赤く熟すのですが、当家の室内栽培では日照不足のためか黄色いまま熟してしまいます。そういう種類もあるとは聞きますが、元々観葉植物として販売されてる種がどう言うものか詳しくは分かりません。
そのまま放っておくとやがて水分が抜け焦げ茶色に固くなってしまう(こうなったものは中の種もダメなことが多い)ため、表面のテカリが消えシワが寄り始めたものや、何となく表皮が透明っぽくなった実を手もぎで収穫しています。
 大株に実った実 不揃いに熟す果実
上写真でも分かるように熟し方はまったく一定せず、同じ株、同じ枝、同じ房でも、収穫には断続的に数か月〜半年以上を要します。
幸いにもコーヒーは、グリーンコーヒー(焙煎前のコーヒー豆のことで生豆(なままめ)とも言う)の状態では常温で数年の保存が可能だと言われ、収穫ごとに下記の要領で乾燥してグリーンコーヒーにしておくことが可能です。
収穫時の果実
収穫時の果実

これくらいになったら収穫時。
写真では露出の関係で赤っぽく見えますが、肉眼で見た感じはこれほど赤くはなくレモンイエローとオレンジの中間くらい。
 
 
乾燥
天日乾燥
乾燥は天日干し

晴れた日なら日中は外に置いたり、冬ならファンヒーターの前に置いて強制乾燥させても大丈夫。
但し、外に置いた場合食糧不足の鳥たちに見つかるとあっという間に無くなっちゃうので要注意。
私は窓際の室内に置き、ガラス越しの天日でゆっくり乾燥させています。
収穫直後の果実
収穫直後の果実

黄色い果実は生臭くけっこう強烈ですが、甘みがあって一応食べられます・・・・たぶん。
お世辞にも美味いとは言えませんが・・・・^^;
艶々した果実は茶碗蒸しなどに入ったぎんなんと同じくらいの大きさ、茶色いのは樹上で乾燥してしまったものです。
天日乾燥4日後
天日乾燥4日後

果肉部分の変化(乾燥)は収穫直後から始まります。
天日乾燥1週間後
天日乾燥1週間後

2枚上の写真と比べ、初めほとんど見えなかった皿面がだいぶ現れ、萎れて縮んで体積の減ってるのが分かります。
天日乾燥10日後
天日乾燥10日後

更にこんな状態になったら次の作業開始!
割りを入れた果実
果実を2つに割り更に乾燥

上写真のようになった頃、萎れた果実を指で摘むと中のコーヒー豆本体となる種が2つ入っているのが分かります。
その境目を昔の和鋏やニッパのような物で割って開き、更に乾燥を促します。
これをやっておくと、後のパーチメント(内果皮)から豆を取り出す作業がすこぶる楽ちん!

だったら乾燥なんて面倒せずに初めから割ったらと思いますがこれがダメ。
乾燥させないと割りを入れる位置が分からないし、パーチメントにはツルツルヌルヌルのペクチン層が付いていてまことに扱いづらい。
でも、こうしておけばペクチン層も一緒に乾燥できちゃう。
割った果実
割った果実の様子

大きな実では3個、小さいものでも1個の豆が入っています。
テカリのある部分がパーチメントを包むヌルヌルのペクチン層。
乾燥半月後
乾燥半月後

更に数日乾燥させ、窓辺に置き始めてからおよそ半月もするとこうなります。
手で触ってペクチン層のヌルヌルが無くなっていれば乾燥終了。
コーヒー豆取り出し
コーヒー豆取り出し

指先の爪をやや立てて乾いた果肉ごとこじるとパーチメントがピキッと割れて、簡単に豆が取り出せます。ラジオペンチやヤットコを使っても便利。
これを楽にしたいがために半月も乾燥させてきたのでした・・・・^^;
後から思うと初めから果肉をつぶして乾燥させた方が早かったか?

尚、ここで取り出した豆はまだシルバースキン(米で言えばぬかに相当)と言われる薄膜に覆われています。
左写真で割れた黄色い殻がパーチメント、その周りの茶色い皮が乾燥した果肉部分。
剥き出したコーヒー豆
剥き出したコーヒー豆

最初の写真のように、直径約15cmの皿に平にいっぱいだった果実から、この程度のコーヒー豆が取れます。
けっこう採れるでしょ!
収穫
今回の収穫

今回大株のコーヒーの木から取れた全収穫量。
ちょうど先の15cm皿にこんもり1杯分くらい。
これで焙煎後はコーヒー何杯分くらいだろう?
精コーヒー
精コーヒー?

「米ぬか」ならぬシルバースキンを精米ならぬ精コーヒー?します。
昔々、一升瓶に入れて玄米を精米したように細口のガラスビンなどに入れ、割り箸2〜3本で根気よく突き回します。
やがて写真のように剥けたシルバースキンが貯まってきますが、これはこれでけっこう大変な作業。
TVでも見ながらザクザク、根気よく頑張りましょう。
コーヒー豆とぬか
コーヒー豆とぬか

およそ30分後、精コーヒーしたコーヒー豆が出来上がり。
真ん中にあるのはシルバースキンの残骸。
見た目はまさに「ぬか」そのもの!
グリーンコーヒー
グリーンコーヒー

ふるいで振るって遠目にはいい感じで出来上がりました。
この状態の生豆は緑色をしていることから「グリーンコーヒー」と言われます。

けっこう多いようにも見えるけど粒が小さく、これで50g弱・・・・^^;
少なっ・・・・(/_;)クスン
グリーンコーヒーアップ
グリーンコーヒーアップ

アップで見るとまだまだ完璧とは言えませんが、筆者はこの辺で十分。
完璧を期したい方は更に30分くらい奮闘して下さい!

ちなみに頑張って取ったシルバースキンはコーヒーの不味雑味の元だと言われ、人によっては豆を更に割って隙間に詰まった皮まで取り出す人がいるとか?
反面、これもコーヒーの味のうち!という肯定意見もあります。
まあ、焙煎の際に多くは焼けて飛んじゃうからこだわりの問題ともいえ、関係ないっちゃ関係ないような気もするが?
 
2022年11月15日 最終更新
2016年10月19日 更新
2007年 2月25日 追記更新
 
2007年 2月12日 追加
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