COLUMBIA/G-208ポータブル蓄音機
最終更新 2009年 2月 1日
 
G-208
 
COLUMBIA「G-20*」シリーズ中の1台。
20*シリーズはコロンビアポータブル機中廉価品の普及機に相当し、この上に中級機21*、上級機22*シリーズなどがある。*印番号の小さいものほど古い機種で、208は昭和初期(1930〜40年代頃)の比較的新しい機種に属する。と言ってもすでに半世紀以上は経ってる訳だが。
そんな208だが、普及機種とはいえ下記のように内容的には上級機と大きな遜色なく、真面目なセット作りが嬉しい。さすがコロンビアと、まずは1台目としてお奨めの蓄音機だ。数量的には他に203などが多いようだが、内容的には大差無い。
主な仕様(自己調べ)
筐 体 実測/縦(奥行き)38.5cm×幅30cm×高さ16cm  開口時(動作時)高さ約45cm  重量約7kg
ターンテーブル 10インチ(約25cm)
機 械 1丁(単)ゼンマイポータブル用薄型機械
サウンドボックス COLUMBIA No.15
ホーン  J型板金製金属ホーン
時 代 昭和初期
その他 手動兼用オートストップ・セレクトレバー付き
 
 
外観 銘板とハンドル
外観&銘板

寸法・重量は上述の通りだが、実際に持つと7kgはけっこう重い。下側角にある黒いプラスチック部は回転し針箱となる。また上蓋左側に付くボタンは開口用の押しボタン。取っ手は入手時のままだがビニールテープを巻いて補修されていた。筐体全体は木製で、ご覧のような化粧紙仕上げとなっている。
同じ208でも筐体は2種類あるようで、この機種では長手方向角に緩い面取りがある。
右写真は内部の銘板。型番の他コロンビア決まり文句の「Viva tonal Grafonola」の文字と特許番号等たくさん。下側に見えるゼンマイ巻きハンドルの先端はネジ込み式ではなく、凹溝付きの差し込みタイプだ。
 
筐体内部
筐体内部

木製筐体の内部。
上部の黒いプラスチック板と左下の曲がった板は、組上がり後板金ホーンの延長として作用する。単純だが当時の価格相応として合理的に出来ている。
 
操作パネル表面 操作パネル内面 
操作パネル周り

下側(手前)右にターンテーブル回転スピード調節レバー、左にオートストップ・セレクトレバー、右上のサスマタ状の金具はアームの短いステーで動作し、オートストップの機能を果たす。
オートストップの機械構造はメーカーにより千差万別だが、いずれもアームの動きにより制御している。その感知方法は大きく下記の2つに分けられる。
  1.レコード上のアーム回転角が所定の角度となった時動作
  2.レコード終端でアームが大きくスッと流れるのを検知して動作
いずれも一長一短あり、2項の方が高級感はあるもののそれだけ微妙な調整が必要となり信頼性はイマイチ。この機械のオート機構は1項に属し、手動操作も可能なセレクトレバーが付く。
裏側(内側)はアームから続き機械を半周するようにJ型の板金製金属ホーンが付く。パネルへの固定は木ネジだが、一応薄いフェルトが入っていたりしてお慰め程度のダンプはしてある。レストア時薄い板ゴムに交換した。
 
機械 機械防振ゴム
機械

ポータブルらしい1丁ゼンマイの薄型機械。しかしガバナーの重錘は高級機仕様の3点タイプと手抜きは見られない。機械構造は1丁ゼンマイとはいえ鋳物フレーム使用など、上級機とほぼ同一と奢っており信頼性は高い。後年の廉価品や他メーカーとは一線を画している。
ゴム部品は消耗品!右写真のように古いセットではほとんどバラせばこんな感じである。機械で上面に3個所有るネジ留め穴と操作パネル間にあった防振ゴムだが、まともなものはまず100%ないと思っていい。もちろんオリジナルとは行かないが、交換ゴムはホームセンター等で入手可能だ。
 
No.15サウンドボックス No.15サウンドボックス取付面
No.15サウンドボックス

ジュラルミン製ダイヤフラムのサウンドボックスで、コロンビアとしてはもっともよく見かけるタイプがこれ。音質はコロンビアらしく暖かみのある音で、金属製ダイヤフラムに多い高域のキンキンさは感じられない。優れもののサウンドボックスだが、残念ながらこれも多くは赤い防振ゴムが溶けたり固くなったりして用をなさない(下記)。当時の部品が簡単に手に入るとも思えず、あっても同じような劣化は免れないだろう。したがって防振ゴム交換の場合、ホームセンター等で売っている板ゴムで自作するなど工夫する必要がある。
アームとの接続口径は実測16.7mm。
接続口径は多くのメーカーで18mm前後が普通で、この頃のコロンビアNo.9とNo.15は細く他との共用が出来ない。ちなみにビクターは逆に19mm前後と太めが多く、こちらも共用できないことが多い。どうも2大メーカーは他との差別化を図ったのだろうか?
 
経年変化した防振ゴム
経年変化した防振ゴム

大概はこんな感じになっちゃってる。
上述のようにオリジナルはまず期待できないので、厚さ5mm程度の板ゴムを加工して修復。3〜4mmのドリル穴6個所と、20mmあまりの穴空けが必要。
加工機械がない場合、中央の大穴は彫刻刀のR刃でやや小さめの穴を空け棒ヤスリ等で仕上げる。
このゴムはアームへの取付金具(左側)とサウンドボックス本体(右側)を、それぞれ3本のネジ留めにより振動をダンプする重要部品。
 
新規追加 2008年 2月 8日
 
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