サボテン針でも作ろうか!? |
最終更新 2009年 1月20日 |
ソーン(トゲ)針について |
蓄音機の針には一般的な鉄針の他、竹針やソーン(サボテンのトゲ)針などがあります。いずれもレコード1面1針が基本なのですが、竹針やソーン針は専用鋏やヤスリで削って1本で何度も使うことが出来ます。 中でもソーン針はマニア御用達として珍重されて来ました。音質(音色)は独特で音量こそ鉄針には劣るものの、竹針の軟質的なか弱い音と違いどこか芯と言うかパンチがあるように感じられます。したがって、華やかなボーカル曲にはベストマッチと筆者は思っていますがいかがでしょう? 材料は西部劇で良く出てくるあの大きなサボテンのトゲです。っがしかし、現在ではワシントン条約により輸出入が出来なくなりほとんど入手困難。たとえ見つかってもあまりに高い価格(1本数百円〜1000円)はとても一般的とは言えませんよね。それ故、ヘビーマニア御用達と言われて来ました。 |
左から鉄針、竹針、ソーン針 |
代替えサボテンの選定 |
それでは筆者のような貧乏人 ・・^^; でも、バカッ高いソーン針の代わりとなるうるサボテン、またはそれに類するトゲを持った植物はないのか? っで、条件的にはだいたいこんなもんだろうと、下記のようなことを念頭に探してみました。 1.園芸店、ホームセンターなどどこでも売ってて、安価で普通に手に入ること。 2.サボテンに限らずバラ類、柑橘類、山椒などトゲを持つ植物すべてを対象とする。 3.日本の自然界で手に入るものならなおベター。 4.直径1mm以上のトゲを持ち、なるべく太さが一定のこと。 5.栽培・採取・加工が容易。 ってことで、探し出したのが柱サボテンの一種、下記の近衛柱(このえちゅう)というサボテンです。 |
近衛柱 このサボテンが近衛柱。 かのソーン針本家と同じ柱サボテンの一種です。太く長くいかにも固そうなトゲがいっぱい(^o^) この株のように10cmにも満たない小株でありながら、すでにこのような立派なトゲを持っています。 しかもこの種が良かったのは1本のトゲから2〜3本の針が作れること。 おまけにこの鉢では100円と極めて安価(^o^) |
トゲ(Thorn) トゲのアップ。 このトゲは直径約1mm、長さ約50mm。1本のトゲで針2〜3本作れそう。太さがほぼ一定なのもいい。 太いトゲでは直径1.5mmほどあり、十分実用になりそう。 |
試作&試聴 |
試作針 株から切り取ったトゲを15mm程度に切断し、およそ1月間日陰で自然乾燥。直径は約1mmとやや細め。 それを試聴用に精密ヤスリでだいたいに削っただけ。 こんなんで大丈夫か?と、かなりヒヤヒヤしながらサウンドボックスにセット。 |
試聴 蓄音機 VICTOR/VV1−90 サウンドボックス HMV/No.5B レコード DORIS DAY 「YOU ARE MY SUNSHINE」 |
画像ではきれいに見えますが、盤はけっこうスレスレの普通レベル程度です。そりゃいきなりきれいな盤は使えなかった。 っで、けっこう鳴ります。って言うか、思った以上に良く鳴りました。音量もそこそこあり、ドリス・デイがちゃんと元気にチャーミングに歌ってくれました。(^^)(^^) 更にレコード(10インチ盤)片面は立派に保ち。聴感上筆者には大きな音質変化は感じられませんでした(同じ条件なら竹針の方が劣化は早いでしょう)。 ものは試しと調子に乗って連続再生し、さすがに2面目後半ではショリショリショリと音に曇りが出てきて限界。 やはり1研ぎ1面だね。 |
使用針 |
1面使用後針 「YOU ARE MY SUNSHINE」1面のみ演奏後の針3種です。 手製のソーン針はそれだけで聴くと前述のように音量も十分と感じましたが、径1mmと細いこともあってか鉄針と比べると明らかに半分以下でした。 比較のため聴いてみた竹針とほとんど変わりません。 |
同じく針先アップ もっとも摩耗の激しいのは竹針で一目瞭然。 以下手製ソーン針、鉄針の順となり、ソーン針の健闘が目立ちませんか? やっぱりサボテンのトゲって固いんですね。 |
録音ファイル |
後日あらためて試聴し、針3種により同じレコードの録音を行ってみました。ご参考までに以下に録音ファイルを紹介します。いずれも蓄音機の上蓋を閉めてホーン軸上1.5mポイントでの録音です。録音機は通常のメモリプレーヤーと内蔵マイクを使用し、きちんと設定した訳ではなくあくまで参考程度です。 下のリンクをクリックすると新しいウィンドウとなりそれぞれmp3ファイルのダウンロードが出来ます。いずれも約1Mありますので、ブロードバンド以外では多少の時間がかかると思います。またブラウザの設定によってはダウンロード出来ないこともあります。ご承知おき下さい。 3種の針の音量差は録音状態のままです。 mp3録音ファイル |
結論 |
比較的良い状態の盤で、150g前後(試聴での実測は150〜160g)までの針圧ならば十分実用になると感じました。元々現代オーディオと違ってかな〜りアバウトな蓄音機の世界ですから、こんないい加減な作りでもけっこうそれなりに鳴ってくれます。 トゲは株から採取してから、理想的には半年以上十分な時間をかけて乾燥した方がいいでしょう。針先の仕上げなど試聴針では目視によるホントに適当なものでしたが、本来は40度前後の角度に仕上げるのが正しいと思います。 試聴結果はあくまで筆者の個人的感想で責任は持てませんが、ご興味あればお試しあれ! |
新規追加 2008年 9月25日 |