サキソフォン・コロッサス  No.03  980701
 
聴かず嫌いだったジャズをようやくその気になって聴き始めようとした時、はて?何から聴いたらいいのか?。
まあ、ここは先人達のご意見を、とばかりに書店で雑誌を手に取り「歴史的名盤50選」、はたまた「モダン・ジャズの巨人達」などなど。いやー、あるある、名曲・名盤のオンパレード。
あれ?これは昔通った道?。なんだかクラシックの世界と似ているぞ。
内容を立ち読みしてみると、やはり精神性や時代背景を基にして解説したものが多い。これもクラシックの解説によく似ている。やはり歴史的名盤は精神性から語らないとありがたみがないということなのか?。下々の者は神棚に捧げてから賞味しなければいけないということらしい。
さてそれはともかく、まずは件の雑誌に共通して紹介されていたいくつかのディスクの中から、「サキソフォン・コロッサス」なるものを聴いてみることにした。
曰く、モダンジャズの金字塔なのだそうである。
国内盤と輸入盤の両方ある中から数百円の誘惑に負けて、安い方の輸入盤を購入することにする。
1週間ほどほっぽった後、満を持して?聴き始めたディスクからは乾いたドラムの導入に続き、テナーサックスの元気なテーマが聞こえてきた。
えっ?こういうの?、これってジャズなの?。これが第一印象。目から鱗、いや、耳から鱗?。
56年のモノラル録音だというのに思いの外ダイナミックレンジは広く、まことに爽快な演奏に聞こえたものである。そして言うまでもなくこのテナー奏者こそソニー・ロリンズであった。
訳も分からずこれが金字塔なのかと、素人目に、いや、素人耳に大納得。
その後の私がちょっとしたロリンズブームとなったことは言うまでもない。
素人にはまずわかりやすい音楽が最適。少なくても私が聴いた「サキソフォン・コロッサス」は手がかりとして運が良かった。
クラシックでいきなりシュトックハウゼンやノーノの現代音楽を聴き始める奴は変わり者。同じくいきなりフリージャズでは荷が重い。まずは古典から。とりあえず定石を踏んで歩き出そう。
 
ソニー・ロリンズ

「サキソフォン・コロッサス」 1956年録音
モノラル録音であるが音の鮮度は比較的良好。もっとも音の善し悪しよりも雰囲気と豪快なテナーを味わいたい。
 
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