キャメロット   No.04  980901
 
大ヒットしたブロードウェイ・ミュージカルは大概日本でもヒットするもの。先に紹介した「マイ・フェア・レディ」はもちろん、「サウンド・オブ・ミュージック」も「屋根の上のヴァイオリン弾き」も「キャッツ」も。
しかしながら世に例外がつきものなのもまたこの世界。「キャメロット」はマイ・フェア・レディと同じく「アラン・J・ラーナー&フレデリック・ロウ」コンビによる大ヒットミュージカルなのだが、なぜか日本ではまったく当たらず存在すらほとんど知られてない(たぶん)。
中世後期のイギリス。小さな諸国が入り乱れあっちこっちで小競り合いが起こる中、何とか事を治めようと会議は開いてみたものの・・・・。
日本ばかりでなくどこの世界も会議においての座る場所や順番にはうるさいようで、誰が上座に座るかで大騒ぎ。そこで一計を案じた時の国王アーサーが円卓なるもので席の上下関係をなくし、ここから有名な「円卓の騎士」なる会議制度が始まろうとした時代である。話はその辺のすったもんだと主人公通しの恋愛物語を柱に、ミュージカル仕立てで繰り広げられる。
映画での主演はアーサー王にリチャード・ハリス、相手役はバネッサ・レッドグレープ。おもしろいのはフランスの騎士ランスロット役のフランコ・ネロで、まことに雄弁かつ達者な歌を披露している。そのままテノールかバリトン歌手でも通用しそうなほど見事なものである。さすがにオペラ発祥の地、そしてカンツォーネにも代表される歌の国イタリア人としての気質は、ネロの中にも脈々と流れていたらしい。それまでネロと言えば、マカロニ・ウェスタン「続・荒野の用心棒」の主役「ジャンゴ」くらいでしか知らなかった私にとって、ちょっとした発見であったことを思い出す。
バネッサ・レッドグレープはこのミュージカル映画で初めて知った女優であったが、前回ちょっと触れた「オリエント急行殺人事件」では、イングリット・バーグマンらとも共演している。
歌唱の方はこちらもなかなか立派なもので、感心するような技術的上手さではないが表情豊かなそのセンスは映画の中でも一段と輝かしい。もちろん彼女によって歌われるナンバーはどれも推薦ものである。
さて、日本での不人気はどうも解せない。
劇中の音楽や歌については申し分ないだろう。話の筋はどうってことないがミュージカルはだいたいこんなもん。いくら史劇の一種とは言え、まさか「ベンハー」や「十戒」のようなスペクタクルってわけにはいかない。そもそも西洋史劇ってものが日本では舞台化しずらくなじめないってことなのか?。まあ配役がちょっと地味だったことは否めないかな?。
実際の出演者は前述したように見事に演じているのだが、やはり知名度ということではちょっと弱かったか?。
尚、ソフトについてはかく言う私も輸入盤のレコードしか持っておらず、国内盤も現役では出てないようであり残念でならない(たぶんビデオも)。
 
981102追記
最近まったく偶然にも同じ題名のアニメが公開されるらしいことを知った。物語の内容はわからないがテレビCMを見る限り同じ原作だと思われる。
 
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