10.群馬県境稜線
 
山に囲まれた群馬県から見た隣接県境稜線の呼び方だが、北から反時計回りに上越(群馬/新潟)、上信(群馬/長野)、上武(群馬/埼玉)は広く一般的にも知られており、少なくても関東近辺の方々ならカナを付けることなく普通に読めるだろう。その名を冠した企業、交通路線、教育機関等も多々ある。
これら稜線上には百名山だけでも上越県境に谷川岳・巻機山・平ヶ岳、上信県境に草津白根山・四阿山・浅間山があり、上武県境は山頂こそちょっと南に外れるが両神山がそれぞれある。また、上信・上武県境については派生稜線上の山々を含め、筆者の遊び場となってる西上州の山々が連なっている。
尚、上越県境稜線は以前「三国山脈」と呼ばれていたのだが現在の地理院地図(以下"地図"表記)にその名は無く、遠く飯豊連峰からほぼ南西に向かって上信越三県境の交点となる白砂山まで「越後山脈」の名に代わっている。白砂山以西の上信稜線も越後山脈の続きとするのかどうか分からないが、それまで地図の縮尺によって何度も出てくる越後山脈の文字が以西で消えてるのは見逃せないところかな?
更に新潟県の上越市は同じ呼びでもおそらく群馬県とは関係なく、昔の都であった京都寄りに南西の近い方から上越・中越・下越という新潟県内の呼びからきたものだろう。
さてそんな中、なぜか対栃木県との県境稜線に決定的な呼び方の無いのが残念なところ。この間の稜線には日光白根山・皇海山という二つの百名山を含んでおり、登山話しする時一々「群馬栃木県境の」と言わなくてはならず、なんだかちょっと面倒というか寂しい気はしている。
群馬県の上毛野(一般に上野/かみつけ・こうずけ)、栃木県の下毛野(一般に下野/しもつけ)と言う昔からの呼びからすると、前述の例に従うなら「上下」となってしまう。さすがにそれは栃木県民からするとちょっと嫌だよなと筆者さえ思うのだから、頭のいい人に何かいい呼び方を考えてほしいもの。
また群馬県は他に「野」を省いて上毛(じょうもう)という呼びも一般化してるのだが、栃木県を下毛と呼ばないのは同じような思いだろうな? とは想像に難くない。
更に県境南部の渡良瀬川左岸の山岳地帯は地図上で足尾山地、俗に南日光山塊(山群)とか呼ばれることもあるらしい。もっともそれは県境稜線を指してる訳ではなく、あくまで周辺山群を指しての呼び名でありここでは当てはまらない。
更にもう1県、福島県とも尾瀬で県境を接しているのだが、こちらも広く知られた呼び方は無さそう。一応、尾瀬沼湖畔(←なんか変な言い方? 沼畔って日本語あったっけ?)を通る「会津沼田街道」という古道があるにはある。しかし、六十里越や八十里越のように直近の海(日本海)へ続く道でも無く、内陸どうしと言う意味では互いに山が深く長すぎる。昔、会津から江戸方面に出るという意味でも一般には栃木県経由の下野街道(会津西街道)の方が直線的に南下すれば良く、はるかに道も穏やかで距離的にも短かかったろう。
したがって会津沼田街道にそこまで多くの往来があったとは考えにくく、先のような県境呼びも存在しないかと思われる。
ちなみに、県境を接してると思われがちな群馬県と茨城県だが、実は直線距離あと3km足らずと言う所で埼玉/栃木県境が割って入り接してはいない。したがって群馬県の隣接県は上述5県と言うことになる。
 
新規追加 2024年12月14日
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