西上州の山の花 |
最終更新 2016年 5月31日 |
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西上州の山に自生している花、灌木や木々に咲く花を取り上げました。
ゆっくりお楽しみください。 |
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アズマシャクナゲ その2
西上州でも知る人ぞ知るシャクナゲの名所はけっこうありますが、某所のここもその一つ。山頂まで標高差100mほどの間、アズマシャクナゲの天然林に覆われます。比較的大きな木に見栄えの良い写真のような花が見られますが、急斜面なのでちゃんと目前でもバッチリ!
古くなったり日なたでは白っぽい花が目立つけど、半日陰くらいの場所では赤の縁取りがひときわ鮮やかです。 |
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オオウラジロノキ(オオズミ)
西上州では一般にヤマナシとも呼ばれそのように紹介していましたが、正しくはオオウラジロノキというのが本名でした。いわゆる梨色に熟すヤマナシとは別の種(下記参照)で自生木として山中でそれなりに見かけるものの、なかなか花を見る機会の少ない木です。
っと言うのも、上写真のようにけっこう葉が茂り始めてから咲く花で、かなり高く見上げる目線でないと気づかないため見過ごしてしまうのです。長い棘状の小枝のある幹で数本まとまって生えてることが多く、右上写真のようにスッと高く伸びている木を見つけたら見上げてみて下さい。うまくすれば今頃の時期(4月下旬〜5月中旬頃)見られるかも? 木瓜(ぼけ)の花に似た赤い斑入りの花びらと、5本の雌しべに50本(2花数えてみたら共に50本でした)の雄しべが華やかでとてもきれいです。写真のように枝先に4〜5くらい集まって咲きます。梨の仲間かと思ったらバラ科リンゴ属でした。
7月頃にほぼ成長の止まる果実は最大でも3cm程度の大きさで、パッと見はサクランボみたい!? 熟しても非常に固く、青(緑)みに赤黒色が混じったようになるのが普通です。2つに割った断面も香りもリンゴと言うよりやはり若い梨の感じ(下写真)。良く熟した実を食べて食べられないことはないけど、ジャリジャリ感と強烈な渋味酸味でさすがに生食は厳しい。そこで軽く洗って二つ割り〜四割り程度に切り、果実酒等に利用すると香り高く楽しめます。但し、相当量必要となりますが・・・・^^; |
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いわゆるヤマナシ、ヤマリンゴなどと呼ばれるバラ科の木々にはヤマナシ、マメナシ、ズミ、木瓜(ボケ)など色々あるようです。山梨県清里等で有名な一般のヤマナシは枝ぶりが大きく広がり、花は白くこれでもかってくらい咲き、果実も最大6〜7cm程度と大きく梨色に熟します。しかし、西上州での自生を筆者は知りません。オオウラジロノキはその点けっこう見かけ、珍しいと言うほどではないでしょう。ズミの類も荒船や湯ノ丸など高原状台地で良く見かけます。いずれも果実酒の材料として一級品で、趣味に薬用にとても人気があります。 |
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写真は共に2015年/10数年ぶりながら絶えて無く良かったけど、花の色が何だかイマイチ!?だった。 |
クリンソウ
サクラソウの仲間では最も大きく、草丈が50cm以上にもなる大型の種です。
名前の「クリン」は段々になって咲く花を、寺院の仏塔などの「九輪」に見立てたもの。真紅の花(白などもあるらしい)は遠目にも良く目立ち、深山の源流域や湿地など湿ったところで群落を作ります。
西上州での自生地はかなり局地的。森林公園など管理された場所と異なり、写真のような天然物を目にすることは希!? |
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ササバギンラン
名前は笹に似た葉からのもので、花より高く伸びる特徴があります。
名の通りラン科の花ですが、その花は写真のようにパッと見良く見るランの形はしていません。いかにも目立つクリンソウとは逆に珍しいというほどじゃないけど、気づかず通り過ぎちゃうって言うのはこんな花たち。
こちらも西上州では局地的に分布するようです。 |
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ミョウギイワザクラ その2
あら不思議!白い花とピンクの花が!?それも隣り合って混じり合っていっしょに!!
ミョウギイワザクラは普通のイワザクラ類より花の色が薄く、ピンクとなるのが普通。この写真では日陰の撮影でホワイトバランスもオートでと、薄紫っぽく見えますがホントはピンク。この項下から2番目の写真の方が実色には近い。
そんな中、希に見かける白花も西上州某所のここではピンクと競い合って陣取り合戦? 実は下写真のような白い花びらにピンクの斑の入った、中間的な色合いの花もあったりします。双方の遺伝子が混じってるんでしょうね。
いずれにしろ国内最高位の絶滅危惧種ということで、場所は教えられません。(^_^)v |
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[ 参考 / 絶滅危惧種TA類 ] <ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種>
「ミョウギイワザクラ」を含む「TA類」は上記の通り、もっとも絶滅の危険性が高いランクとして分類されています。アップ時の2000年現在国内の植物では46種のみ指定されていましたが、現在は数100種も指定されているようです。
それにしても、かのユウバリソウやレブンアツモリソウなどと同列に扱われているのだから大したもの。妙義山では他に「ミョウギカラマツ」も46種中の一つとして当時から指定されており、こんな小さな山で名を冠した2種も指定されていればそりゃ自慢していいでしょう! |
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フデリンドウ
早春の山ではお馴染みフデリンドウです。
西上州の某所では狭い範囲ですが、一面の落ち葉を真っ青に染めるような群生も見られ目を奪われます。 |
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わさび
お馴染みわさびの花です。
4枚花弁が特徴のアブラナ科わさびは、香辛料となる根茎ばかりでなく全草が食べられます。いわゆる葉わさびとして、観光地では葉や茎の辛味漬け物がよく売られていますよね。
花の時期はかなり早く、西上州では木々が芽吹く頃にはもう最盛期を迎えます。 |
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ヒゴスミレ
西上州でエイザンスミレはけっこう普通に見かけますが、ヒゴスミレは希少です。たぶん!
花の時期でも小さく目立たないため、それと知って探さないとほとんど見つけられないでしょう。この場所は標高1000m以上の山林内で、開花途中か萎みかけかちょっと残念。
かなり局所的な分布を示すようで、10数株発見したこの場所以外に西上州での分布を知りません。 |
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ハナネコノメ
ネコノメソウ属はいずれも足下に咲く小さな花で、気づかず通り過ぎちゃう、あるいは気づいても見過ごしちゃう代表の一つ。
この種は小さな沢沿いの岩上などに張り付いて、びっしり群生する小さな花です。白く花びらに見える部分はガクとのことで、黄色が多いネコノメソウの中では少数派。ここではたまたま目線に近い高さに咲き、撮ってほしいとばかりよく目立っていました。
遠目には何でもないような花も、アップで撮るとこんなに愛らしい。 |
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ハシリドコロ
お馴染み、早春の毒草の王様ハシリドコロ。
ロケット状に芽吹いたばかりの葉は柔らかそうで美味しそうで、いかにも早春の山の恵み。でも実体は全草が猛毒で食べるとその苦しさに走り回る?! そこで付いた名前がハシリドコロだって!! 地味な紫の花も珍しく葉に支えられ上を向き、その内側がきれいな黄色であることがよく分かります。
西上州ではどこにでもある代表なので、くれぐれも山菜と間違わないように! |
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キツリフネ
先に↓紹介したツリフネソウの、こちらは黄色い花でキツリフネ・・・・ってそのまんま!
ツリフネソウでくるりと巻く距の部分は垂れ下がります。秋口から咲き始めるツリフネソウに対し、こちらは真夏を中心に林道の湿った路肩や日陰でよく見かけます。 |
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クサタチバナ
橘の花に似て草に咲くからクサタチバナ。
山道沿いや林下に数本まとまって生えることが多く、初夏の緑濃い中その花はけっこう目立ちたがり屋さん。 |
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アブラツツジ
葉の裏側が油を塗ったように光沢あることからアブラツツジ。
別に壺(花)から油が採れる訳じゃありません。白や赤によく目立つ花のドウダンツツジ属の中で、こちら緑色の花はあまり目立ちません。でも、これでもかというくらい房になってたくさんつける花は、アップで撮るとイヤリングのモチーフになりそうでなかなか可愛い。 |
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サワフタギ
オトギリソウ属の花のようにたくさんの長い雄しべが目立ち、パッと見なかなか豪華な白花。
秋には瑠璃色の実も美しく、手持ちの図鑑では秋の項目に載っていて長いこと気づきませんでした。以前、花を見てガマズミの仲間ではと紹介していましたが、その後サワフタギという種類であることを教えていただきました。早速図鑑で調べ、なるほど確かに!
keitoさん、ありがとうございました。m(_ _)m |
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オドリコソウ
西上州では以外に見かけないオドリコソウ。
っと思ってたら、1000mを越える林道で発見。春の花ですがそこでは6月半ば過ぎに咲いていました。路肩に並んで咲くと言うより、そこでは丸く大きな花束のようになって咲いていました。
西上州では花の色合いがご覧の通りで、それと知らないと葉に隠れがちであまり目立ちません。 |
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サクラスミレ
日本のスミレでは野生種として最大の花というサクラスミレです。
図鑑によると大きい物は3cmくらいになるらしく、ここの花はむしろそれ以上の立派な花でした。花期が短いのかその後葉は見るもののなかなか花を見つけられず、付近には掘り返したような跡が・・・・ |
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アズマシャクナゲ
関東に多いということでその名もアズマシャクナゲ。
花色は蕾の時濃い赤色ですが、開き出すとだんだん薄くなっちゃいます。自生林としては上信・上武の県境尾根が中心ですが、森林公園などでもけっこう植え付けられた株を見かけます。 |
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ホンシャクナゲ
西日本に多いというホンシャクナゲです。
ちょうど西上州はアズマシャクナゲと分布の境になるらしく、某所では西斜面と東斜面に別れるように、あるいは一部混成林のようになっているのを見かけました。上二つの写真でもお分かりのようにアズマシャクナゲは花弁が5枚ですが、こちらホンシャクナゲは7枚ですぐに分かります。 |
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ラショウモンカズラ
何とも仰々しい名前のこの花、昔、京都羅生門で渡辺綱が切り落とした鬼女の腕にたとえたといいます。
アップ写真ではありますが実際にもけっこう大きくきれいな花で、林道の路肩や山道脇を中心によく見かけます。こんなに目立つというのに、何だかちょっと可哀想なネーミング。
十分鑑賞に堪える初夏の美しい花のひとつです。 |
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アズマイチゲ
東の国の一花(一華=イチゲ)の意という名前に、何となくありがたみを感じてしまいます。
落葉樹林の縁や山麓の土手、林道脇など、やや湿り気味の所に生える多年草です。山野草の中には埋め尽くすように咲いていた花が数年後、突然絶えてしまうということが良くあります。でも、アズマイチゲは同じ所で毎年咲くようで、どこか自生地を見かけるとずっと楽しめそうです。
この種の花は木々が芽吹く前に一斉に咲くため、盛期の見極めが大切! |
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レンゲショウマ(右は正面)
蓮の花に似て、気品すら感じるその名もレンゲショウマ。日本特産の1属1種というからあなどれません。
日本特産と言えば1科1属1種のシラネアオイが有名ですが、こちらレンゲショウマも右写真の雄しべが集まる様子は類似性を感じさせます。白く花びらに見えるのはガクで花弁は紫色の部分。左下にちょっと見えるサクランボのような丸い蕾もかわいらしい。
西上州では・・・・いや、やめとこ! |
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ツリフネソウ(右は正面)
決して珍しい花では・・・・っていうか林道脇など普通に見られるツリフネソウです。
秋口からの盛期には林道法面や路肩をいっぱいに埋め尽くし、古代生物を思わせるその独特な形と色はよく目を引きます。雑草には違いないけど、まるで花壇のように咲き競う様はちょっとした風物詩? 長さ4cm前後と花もけっこう大きく、見栄えはなかなか立派です。 |
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キバナアキギリ
日本産サルビアの仲間でアキギリは紫色、こちらは黄色いからそのままキバナアキギリです。
花の形を桐の花にたとえこの名がついたようですが、それを言うなら赤い雌しべの花柱もたとえてほしかった。蛇の舌みたいと言ってはイマイチだけど、何とも良いアクセント。 |
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ヤマジノホトトギス
これまた何とも珍妙な形の花。
よく似た種にヤマホトトギスがあり、噴水のような花柱に紫の斑紋が入るとのこと。でも西上州で見かける多くはこちら斑の入らない「山路のホトトギス」ということです。決して稀ではなく山道脇などに普通に見かけます。 |
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レイジンソウ
その形を雅楽奏者のかぶる帽子に見立てて「伶人草」。
とは言えこの外側から見える部分はガクで、ホントの花弁はこの帽子の中にあるようです。この種は年により変動があるようで、同じ場所でも良く見る時とあまり見ない時があります。写真の見た目よりは小さな花ですが、場所によって林道路肩を薄紫に彩っています。 |
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サラシナショウマ
豪華な豪華なサラシナショウマには蝶や蜂も群がっていました。
元々長い花穂を伸ばすこの花ですがここでは特に長く、なんと全長50cmほど。サラシナとは若葉を水にさらして食べたことに由来し、ショウマは根や茎を漢方薬として利用した時の名だそうです。それからも分かるようにこの種のキンポウゲ科は多くが毒草でもあり、余程自信がなければ食べない方が無難。
バックの紫はツリフネソウ。 |
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シオガマギク
決して珍しい花ではないようですが、それでも西上州で出会えるとは予想外。
シオガマギクは写真左側の花に見えるくちばしのように尖って湾曲した上唇が特徴です。高山植物のヨツバシオガマなども確かに同じような花びらですね。イネ科植物などに寄生する半寄生植物とのことで、そう言えば確かにイネ科の雑草と一緒にありました。 |
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ミツバツツジ
山々がまだ芽吹く前、他に先んじて咲き誇るのが一般にヤシオと呼ばれるミツバツツジの一群です。
西上州はこの種のツツジの宝庫で、春先の山々を赤紫に染め上げる様は日本中に誇っていいと自負できます。当然、秋の紅葉も見事で、低山だけど高山のそれに負けてませんよ。この仲間は似たような花ばかりでなかなか見分けが難しいけど、ミツバツツジに限っては雄しべが5本しかないので簡単。赤紫に染まる他のほとんどのツツジ類では10本前後の雄しべとなっています。 |
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キブシ
芽吹く前に下向きで半開きの花を房状に付けるキブシの花です。
ドウダンツツジ類や馬酔木の花と良く似た吊り金状の花が、写真のように房となって咲きます。写真ではすでに芽吹いており、散る間際だったのかもしれません。
バックは妙義の白雲山です。でも見慣れない山影ですね。ではここはどこ? |
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ミョウギイワザクラ
西上州に咲く知る人ぞ知る名花。岩壁の草付きや沢奥で人知れず咲くミョウギイワザクラです。
この種はすべて一般のコイワザクラに比べ花の色が薄く、写真のようなピンクとなるのが普通です。妙義山はもちろん、時期を誤らなければ西上州の岩峰や沢にけっこう見つけることは可能です。
2002年に朝日新聞社より発刊された「続日本百名山No.11」に、固有種ミョウギイワザクラとして紹介されています。 |
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馬酔木(アシビまたはアセビ)
馬が葉を食べると酔ったようになるところからこの名が付いたそうです。
ドウダンツツジ類に似た釣り鐘型の花を房状にして、これでもかというくらい豪勢に咲きます。西上州の表玄関稲含山では山頂付近で大規模に群生し、高さ5m前後のこの種としては大きな林を形作っています。花の時期にはハリエンジュ(ニセアカシアまたは一般にアカシア)に似た良い芳香が漂い、時にはモワッと立ち眩みしちゃいそう。 |
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