2000/11/26  10.生分解性プラスチックのお話(基礎編−その2)
最終更新 2006年4月20日 
 
生分解性プラスチックは大きく二つに分かれる。
一つは「完全分解型生分解性プラスチック」、一つは「部分分解(崩壊)型生分解性プラスチック」である。
 
完全分解型とは、
その名が示す通り、プラスチックを構成する成分すべてが微生物の作用により、最終的に水と二酸化炭素等まで分解されるタイプである。
より厳密に言えば、たとえば充填材入り、又は赤や青に色づけしたプラスチックであった場合、その混合物や色素まで生分解される必要がある。
当然それらの物は自然界に有るものが望ましい。
たとえ合成物であっても生分解されるべき材料を使うべきである。
もっとも、私個人的には何が何でも天然物でないとダメ、とまでは言いたくない。
それは天然物であっても化学的に分析すれば○○酸とか○○ナトリウムなどという名前になる訳で、合成物すべてに拒否反応を示してはそもそもプラスチック製品は成り立たなくなってしまう。
尚、補強のためにガラス繊維やカーボン繊維を混合しようなどと考える人もいる。
私感としては、そもそも「現段階でそんな(高度な)用途に生分解性プラスチックを考えるべきではない」、と思っているがいかがだろうか?
そのような行為は完全分解の名に反し、「環境」という聞こえのいい流行に名を借りたジェスチャーにしか私には見えない。
将来はともかく、現時点では完全に時期尚早と考える。
目先の用途開発より、ここでは生分解性プラスチックの理念を優先したいと思う。
対して部分分解(崩壊)型とは、
一般のプラスチックに澱粉やPVA(ポリビニルアルコール)などを混合したタイプである。
具体的にはポリエチレンやポリプロピレンなどの汎用プラに、上述を混合させて材料とされることが多い。
こちらはベース素材が廉価なため、完全分解型に対して価格を安く抑えられる利点がある。
部分分解型は、分解過程で澱粉などは微生物に分解されるが、ベース材の汎用プラ部分はそのまま残ることとなる。
もちろん、残ると言っても肉眼で判別出来るほどではなく、前回述べた「一般的に分解したと認識されるレベル」になる訳である。
これも広い意味の生分解には違いない。
言うまでもなくベース材となる汎用プラの安全性が確認されてなければならないが、大量使用となると副次的な問題も当然考えられるだろう。
かのBPS(生分解性プラスチック研究会)ではこちらはグリーンプラとして認めていない。
 
尚、なが〜い目で見れば一般のプラスチックでも、やがて紫外線や風化などの作用により機械的に崩壊する訳であり、決して永久的に形が残るというものではない。
更になが〜いなが〜〜〜い目で見れば、崩壊したプラスチック粒子にやがては微生物が取り付き、生分解も始まることだろう。
生分解性プラスチックの定義を換言すれば、それら変化の起こるスピードの度合いが一般のプラスチックに比べて極めて早い。
そんなプラスチックをジャンル分けしたもの、と言うことも出来るかもしれない。
 
さて、この項では以降、「完全分解型生分解性プラスチック」について考察を加えることとする。
次回はその背景について述べてみよう。
 
−−つづく−−
 
Home      Column−index