最終更新 2011年 3月28日 | |
1.生分解性プラスチックって何だ? | |
生分解性プラスチックとは「使用状態では従来のプラスチックと同等の機能を有し、使用後廃棄された時は土中または海水中などの微生物により分解され、最終的に水や二酸化炭素になるプラスチック」です。 尚、「グリーンプラ」は1990年代半ば頃、旧通産省が一般より募集し選定した生分解性プラスチックの愛称です。 |
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各種グリーンプラポットによる分解性比較 |
実用試験 |
生分解性プラスチックは主に穀物でんぷん(飼料用とうもろこしでんぷんなど)を出発原料とし、各種行程を経てビーズ状(ペレットと言います)のプラスチック材料となります。 透明性から不透明性、軟質から硬質など、汎用プラスチックがカバーしている領域はほぼ代替えが可能です。 注意点としては総じて熱に弱く、特に耐熱クリープは未だ全滅状態と言っていいでしょう。 但し、無負荷(放置)状態での耐熱性は最近改良されつつあります。 |
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生分解性プラスチックが分解すると水と二酸化炭素が発生します。あれっ?、二酸化炭素って地球温暖化防止にとってまずいんじゃないの?。 誰もが思う疑問でしょう。でも大丈夫。 植物は大気中より炭酸同化(光合成)によって二酸化炭素を取り込みでんぷんを作り出します。生分解性プラスチックの多くはそのでんぷんより作られています。たとえ分解し二酸化炭素となって放たれても、それはもともと大気中にあったもの。植物と生分解性プラスチックを経由してまた元の大気中に戻ったにすぎません。地球上の循環サイクルに組み込まれるもので、地下に閉じこめられていた化石資源を燃やして発生する二酸化炭素とちがい、大気中の絶対量を増やすものではないのです。 |
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焼却炉を傷めない目的で最近は多くの自治体やコンビニなどでポリエチレン製、またはポリエチレンに炭酸カルシウムを混合させたゴミ袋が使用されています。 |
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では実際の分解性はどうでしょう? 空気中ではほぼ問題ありません。 土中や水中では各種条件や生分解性プラスチックの種類によって大きく異なります。おおむねフィルム状の物で数週間から数ヶ月、1mm厚程度の板状の物で1年から数年で分解すると思っていいでしょう。 一般環境中での分解時間は、普通にイメージする分解時間よりかなり長めとなるかも知れません。 尚、コンポスト中など条件が揃えば前述の数倍〜数10倍ほどの速度で分解するとも言われています。大型の(業務用の?)コンポスト器ではゴミ袋のようなフィルムが1〜2日で分解したという報告も見られます。 |
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プラスチック製品としての機能を損なわず分解性のみコントロールする手法も研究されています。 | |
<育苗ポットなどによる分解試験の実際例> | |
上写真のようにして土中に埋めたポットを、2ヶ月後に掘り出したのが下の5枚の写真です。 これらはいずれも同じ種類の生分解性プラスチックを使用しておりますが、独自の自然材料添加により分解性をコントロールすることも可能となります。 尚、試験に使用した土は園芸用として市販されている、野菜用のもので行っております。 又、下写真の左側ポットは、各々比較のために置いた分解前の製品です。 |
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上の写真の5個並んだポットの左側2個 |
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同じく右側3個 |
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では生分解性プラスチックのほとんど唯一と言っていい欠点はなんでしょう? 実は値段が高いのです。現状では汎用プラスチックの少なくても3倍〜5倍以上。 加えて加工も難しく経済性を無視できない現代社会において、これは大変高いハードルとなっています。 生分解性プラスチックの普及を妨げている最大の原因と断じても言い過ぎではありません。量産効果を上げて値段を下げたい。しかしそのためには前提となる量を確保しなければならない。ここがジレンマです。 残念ながら日本ではここでも経済性優先なのでしょうか?。 |
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種類 | |
完全分解型 最終的にすべて水と二酸化炭素に分解します。一般に「生分解性プラスチック」と言った場合こちらを指して言います。 |
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微生物産出系 バイオポール、ビオファン、ビオグリーンなど | |
天然高分子系 ノボン、マタービー、ドロンなど | |
化学合成系 セルグリーン、ビオノーレ、PCL、ラクティ、ルナーレ、レイシアなど 注) 化学合成系の中には、でんぷん等の天然物由来の物と石油など化石資源由来の物があります。 |
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部分分解型(崩壊型) 生分解性プラスチック部分は分解しますが、汎用プラスチック部分は細かくなって残ります。 |
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ポリエチレン等の汎用プラスチックとでんぷん、PVA(ポリビニルアルコール)等の混合プラスチック |
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