専門用語とパソコン  990601  No.27



天野 : 「専門用語ってのは困っちゃうんだよなあ。特にパソコンやインターネットの世界ではある程度用語がわからないとねえ・・・・。かなりきつい。」

記者 : 「はいはいわかりますねえ。もう僕なんかそのまんま経験者。」

天野 : 「しかもタチが悪いことに、同じ行為や方法を指してても実にいろんな言い方があるからさあ、なおさら始末が悪い。だいたい主なOSだけだってウィンドウズにマック、ついでにユニックス、最近は更にリナックスなんてのも。もうチンプンカンプン。」

記者 : 「確かにだいぶ普及してきたとは言えパソコンっていう機械だけは、今までの機械と違って買った後に使用者に勉強を要求しますからね。僕らから見たって残念ながら今のパソコンはどう見ても中途半端。仕事柄僕は覚えない訳にいかなかったけど、よく言われる目的がはっきりせずに買った人なんか、机を占領する置物みたいに成り下がっちゃってるって聞きます。」

天野 : 「それでも机の上にあればまだいいけど、それも邪魔になってどこかにほっぽっちゃったなんて人も多いんじゃないの。せめてウィンドウズでもマックでも、ハードもソフトも、ついでにインターネット・プロバイダーなんかも、用語の統一くらいは計ってほしいよな。あんまり自己主張ばかりに意地を張らないでさあ。
我が社こそはデファクト・スタンダードでとか、一番早く開発に成功したのは我が社でしてってそればっかり。そりゃー開発企業が利益を得るのは当然の権利でもあるけど、「損して得取れ」みたいなそう言う太っ腹なところは無いのかねえ。意地ばかり張ってて普及がおぼつかなくなっちゃうなら、ちょっと譲って全体のユーザーを増やした方が余程建設的だと思うけどね。
いっそのことJISかなんかで日本はこうですって、世界に宣言しちゃったりとか。何だかんだ言ったって日本市場をどこも無視できないんだからさあ、日本発の統一マニュアル何てのを提案したっていいじゃんか。JISが無理なら業界団体が先頭に立ってとかな。」

記者 : 「まったくねえ。」

天野 : 「まあしかし自分で言っといて何だけど、絶対まとまらねえよな。さっきの繰り返しになっちゃうけど、こいつを最初に開発したのは「うち」だから、当然「うち」の装置や用語に優先権がある。いやいや、普及させたのは「こちら」だから「こちら」が事実上の業界標準だなんてね。もう目に浮かんじゃうよ。」

記者 : 「浮かびますねえ。何年経っても決まらないでしょうね。」

天野 : 「専門の用語辞書を何冊もひっくり返したって出てないような用語がさあ、(たぶん個人的な言い方なのか?)平気で使われてたりするから益々こっちは固まっちゃうよなあ。パソコンに向かい始めた初心者にとってこの手の用語を修得するということは、ほとんど英文法を覚えるような作業で最初の壁になることが多い。」

記者 : 「「文法はいいから、次は具体的に何をしたらいいの?」って、ほんとはほとんどそう聞きたいんですよね。そのうち頭にきて明日明日って先送りにするうち使わなくなっちゃったり、頭にきてコンセント引っこ抜いたらおかしくなっちゃったとか。」

天野 : 「そもそもコンセント引っこ抜くような、そういう扱いをしてはいけないってのが作成者側の常識になっちゃってる。でも俺に言わせればそれこそ勝手な解釈なんだよな。他の家電品だったらむしろ節電などを理由に、コンセント引っこ抜く方が常識なんてのも多いにある得るんだからさあ。
仮に操作法としてマニュアルに答えがあっても、それがまた得意の用語の羅列でチンプンカンプン。むしろそんな場合、ほとんどのマニュアルは事実上まともには答えてくれないと言ってもいい。それでまた用語を調べてるうちに「ああ、もういい!!」ってなことになっちゃうんだよなあ。」

記者 : 「いやあー、僕も使い初めの頃が目に浮かぶなあ。まったくそういう感じだったもんなあ。」

天野 : 「そうだろ。俺だって同じだよ。その道の上級者に言わせれば「そんなの当たり前」ってことになっちゃうかもしれないけどな。
昔はそもそも市販ソフトなんてのは皆無に等しく、パソコンでもマイコンでも動かそうと思ったら、自分でソフトを組まなければならなかった。つまり良くも悪くも極めて特殊な専門性を必要としたはずだよな。その頃自ら好きで飛び込んでんだからさあ、そりゃー一生懸命やったろう。
だけど今は売り物のソフトがありハードもシステム化されて、「誰でも簡単ですよ」ってな宣伝してるじゃねえかなあ。「俺にも出来るかな」ってなっちゃうよ。ところがその気になって飛び込んだら「なんじゃこりゃー」。」

記者 : 「まあー、ありそうなことですよね。」

天野 : 「ほんとはさあ、用語なんか知らなくてもある程度操作を覚えることは出来るんだけどね。
たとえば子供なんか興味があればすぐ覚えちゃうだろ。でも、決して用語がわかってるわけじゃない。逆に用語だけよく知っててもそれだけじゃ操作は出来ないけど。
昔と違うのは今のパソコンの場合、アイコンを選んでいけばそれなりの変化が画面上に出る。まあ最初はほとんどの場合希望通りの結果は出ないだろうけど、それでも正解だったかどうかのおよその判断はつくだろう。とかく変な操作をして壊れちゃまずいっていう心配がまず頭をかすめるけど、重要ファイルを消しちゃうような致命的な操作の前にはだいたい注意が出るからさあ。その時に「YES」か「NO」かだけ気を付ければ大怪我は少ないだろう。」

記者 : 「いやいや天野さん、それがねえ、わからないんですよう。」

天野 : 「ん?あっ、そうか。そもそもそのYESかNOかがわからねんだよな。どっちか選べったって、目の前の状況はどっちなんだってことがわからないんだっけ。それがわかりゃ苦労しないって大概の初心者は思ってんだよな。だいたいそんなことはマニュアルのどこを見たって書いてねえもんな。YESかNOかわからない場合はどうすんだってことを説明したマニュアルがほしいなあ。こりゃもう禅問答か?。
初心者から見てそういう所が玄人作マニュアルの最大の欠点だってことに、いい加減気付かねえかなあ?。質問しようにも何がわからないのかわからないってよく聞くもんなあ。
「こんなに親切に書いてるのに何でわからねんだ?」って、そう言われたってこれだけ普及してくれば、それじゃ今は通らないって。」

記者 : 「パソコンがしゃべり返してくれて、ほんとの意味で人と話すような会話形式になればいいですけどね。」

天野 : 「ああいいねえ。会話とまではいかなくても最初はパソコン側からの一方的な話しかけだっていいよ。好きな女優やアイドルなんかの声で話しかけてくれたら、それだけでパソコンの前から離れられなくなっちゃったりしてな。最近はHDの容量も大きくなったことだし、20〜30Mも使えば大概の回答は用意出来るんじゃねえのか。慣れてきたら音程や周波数特性をコントロール出来るようにしといて、自分の恋人やお気に入りの人の声に似せちゃったりしてね。
「ちょっと待って、この操作は危険だよ。ヘルプの○○ページを見てね。」とか「天野さん、データを保存する時はYESを押して下さいね。」な〜んてな。必要無くなったら消去すりゃいいんだからさあ。どこぞやのメーカーさんたのんまっせ。ウケると思うけどなあ。」

記者 : 「いいですねえ。僕も賛成。是非お願いします。」

 

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