どうなる?Y2K  991220  No.32


記者 : 「いよいよ2000年まであと10日余り。ここに来てさすがに国や自治体からも備えに怠りなく、というアナウンスが多くなりましたね。」

天野 : 「ねえ、どうなんだろうね。
お国柄というか国民性というか、アメリカなんかじゃかなり心配性な人も多いみたいだけど、何でもお役所頼みの日本人は逆にのんびりしたもんだからね。ほとんど無関心の人が多いんじゃない。実際、日本人が欧米人と違ってパニックを起こさない民族性だというのは、阪神淡路大震災で証明済みだからさあ。何てたって欧米人が一番驚いたのは地震の規模や被害よりも、日本人のそうした民族性にあったって話も聞いたことあるからね。」

記者 : 「個人主義とお仲間主義とでも言うんでしょうか。」

天野 : 「まあ、それでも役所が言うように「備えあれば憂い無し」って訳だから、毎日使う生活用品くらいは準備しといて間違いないだろう。どっちみち何も起こらなくったっていずれは使うものだから、別に無駄になる訳じゃないしね。
とは言え1年前にも言ったように、大規模なインフラの不具合が起きるとは考えにくいかな。仮に起こってもそれは比較的早いうちに修復するだろう。たとえば数時間とか、長くても1日くらいでね。
もっとも、ストップしたインフラそのものが原因として起こる事件事故よりも、その復旧過程で起こるかもしれない人為的ミスの方が怖いな。当然多くの場合そんな時は自動運転から手動運転に切り替えて復旧を計る訳だから、そういうミスの介在する危険性はかなりあると思っていい。管理者だってそう滅多にない操作をするわけだし、いくらこの時に備えて訓練しててもそれが人間の行う行為だからさあ。公になるような大きな結果や被害として出るかは分からないけど、実際の現場ではけっこう慌てる場面があるんじゃないかなあ。」

記者 : 「はい、ありそうな感じはしますね。そういう人為的ミスがたとえば原発だとか航空管制などで起こったら、そりゃーもうちょっと笑えない話になっちゃいます。」

天野 : 「まあ、はっきり言ってそういう部分は今更心配しても始まらないな。我々一般人がどうしようもないことだし、それはもう管理体制を信じて見守るしかないだろう。」

記者 : 「やっぱそうなっちゃいますかねえ。ここに及んでジタバタしたって始まらないか。」

天野 : 「ただもっと身近な狭い範囲のある特定の地域だけとか、特定の家電品や機械とか、そういう部分の何らかの不具合なんてのは、日本中あっちこっちでいろんなことが起こりそうだな。ニュースにならない小さな事件・事故なら枚挙に暇がないかも。特になかなか対策のおぼつかない中小事業所では正月休みがあけて出勤したら、会社の機械がウンともスンともいわないとかね。
それから1年前にも指摘した遊興関連施設もやっぱり心配。大晦日を跨いでそれらの施設で遊ぶにはちょっと勇気がいるな。俺は遠慮するよ。単に動きが止まっちゃうくらいならいいけど、逆に制御が出来なくなっちゃたりしたら大変。以前アメリカかどっかの遊園地であったような、ジェットコースターが逆さまのままストップ、なんてのはちょっとカンベンだな。もっともそういうものは年代わりを跨いで運転しないと思うけどね。あっ、ってことは年明け1番の運転の方が怖いかな。第三者的にはパチンコでも出っぱなしになりゃ面白いけどさあ。
ま、いずれにせよ家でTVでも見てる限りじゃ、特に個人に降りかかるような大問題は起こらないと思うけどな。」

記者 : 「でも家でのんびりしてる人ばかりじゃないから、やはり外に遊びに行く人や乗り物を利用する人はちょっと心配でしょうか?。」

天野 : 「う〜ん、それでもほとんどの人が直接問題にぶつかることはないと思うなあ。むしろそういう問題に直面したらある意味幸運かもしれないよ。だってこんな問題が、それも世界規模でそう度々起こるとは思えないからね。俺だったらぶつかったその問題を千載一遇のチャンスとしてしっかり満喫しちゃうな。」

記者 : 「余裕ですねえ。例によって楽観的というか。
でもほらさっきも言った飛行機とか新幹線とか、それから信号の異常なんかも言われてますよ。」

天野 : 「確かにね。だけどその手の事って多少オーバー気味に言われんだよな。やっぱり伝える側としてはより人目を引くことを考えるだろ。大したことは起きないから安心してって言うより、核ミサイルが誤発射されるとか、原発の制御がきかなくなるとか、飛行機事故が起きるかもって、そういう衝撃的見出しを求める訳よ。これに関しちゃ世界中どこのマスコミも似たようなもんだね。確かにロシアなんかの様子を聞くとそんな可能性だって絶対ないとは言わないけど、じゃ実際に起きるかと言えば書いたジャーナリストだってほとんど他人事だと思うよ。ホントに起きるかもしれないと信じていればノストラダムスの時と同じで、人に伝えるより別の行動とるんじゃない?。そんなところはやたらハシッコかったりして。」

記者 : 「相変わらずマスコミには厳しい。」

天野 : 「ついでに台風や大雪の天気予報や地震の津波予報なんかも同じだよね。実際に予報通りの規模や被害が出ることって少ない。もちろん予報以上の大被害が起こることだってあるけれども、やはりそれは例外的って感が強い。つまり予報を出す側の心理としては実際に予想される被害よりも、多少オーバー気味に伝えることが多いってことだな。だって大したことないでしょうなんて予報出しといて、その通り大した準備せずにいたら大被害になっちゃった、なんてことになったら大変だろ。文句言われんのは予報をだした機関や人間だもんな。間違って損害賠償なんて話になったらたまんねえしさあ。
果たしてY2Kがどうかってのも見物だね。」

記者 : 「そうは言われてもやっぱり何かは起こるだろうし、日本での一般の無関心が結果的にどういう形で出ますかねえ?。コンピュータに詳しいその道の専門家ほど心配してるというのは事実だし、とにかく色々な準備もいい意味で徒労に終わってほしいです。」

天野 : 「個人では防ぎようがない重大な事態はともかく、それ以外の個々の出来事は準備しない奴がバカだった、そう言い切っちゃっていいと思うね。こういう場合後になって、「そんなことは知らなかった」「こういう事態に発展するとは思わなかった」って責任転嫁する奴が必ず出てくる。でも今回ばかりは事の大小はともかく必ず想定外の出来事が起こるだろうし、ホントのところはそれが何かなんて誰も指摘出来ない難しさがある。だからこそ誰のせいにも出来ない。実際にその何かが自分の身に降りかかる可能性は少ないけれども、だからって何もしないのはやっぱり個人の責任。そう了解すべき。」

記者 : 「ですかね。」

天野 : 「きっと過ぎちゃえば笑い話になるよ。」

記者 : 「そう願いたい。」

 

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