バックボーンと一芸に懸ける? 010320 No.37
天野 : 「ぼちぼち新入社員がまぶしい季節になったねー。うらやましーやな〜ホントにさー。俺にもあんな時があったっけ?って思うよなー。
で、一応先輩面して語っちゃおうかなー。」
記者 : 「どうぞ語ってください。」
天野 : 「ほら、今こんな先行きの分からねー時代だろ。経済も生活も自分の未来もお先真っ暗なんて思っちゃうよな。いったい欧米と日本はどう違うんだってさー。
とは言っても経済がどうたらこうたら、なんてー小難しいことは置いといて、もっと単純なことから考えてみた。
たとえば欧米では普通名前(First Name)が先にきて後に苗字が付く。人を呼ぶときも名前が多いようだし、初対面の相手にもよく「○○と呼んでくれ」、な〜んて名前やニックネームを言うじゃん。年齢差による先輩・後輩の差もほとんど人間関係には影響しないらしいし。」
記者 : 「外人って最初からフレンドリーですもんね。」
天野 : 「悪く言えばアメリカみたいな多民族国家で個人主義が発達した国じゃー、見た目のフレンドリーさに反して実は相手を信用してない。だから表面上だけでも親しさを装わないと、それこそいつ銃で撃ち殺されるとも限らないってこと?。
良く言えば出身や年齢性別に関係なく、誰とでも最初から対等の立場でつき合いが出来るってことかな?。」
記者 : 「ええ、たぶんそういうことでしょうね。」
天野 : 「別の見方をすれば個人間のつき合いなら性格オンリー、能力オンリー、で、出来るのかもしれない。バックの組織や一族名は関係ないんだな。日本のように個人より所属する組織や一族名が信用の第一条件となる国とは大違い。
日本ではまず組織名、一族名が先に来て、一般的に初対面の人には組織での地位や苗字を呼ばせるよね。部長・課長とか、俺だったら「天野さん」ってなる。
名前を呼ぶ習慣の国とは、何か人に対して根本的な考え方の違いがあるんじゃないかとも思える。もっとも民族学者でも国語学者でもないのでホントのところは分からないけど。」
記者 : 「言われりゃそうだけど、考え過ぎのような気も?。」
天野 : 「そうかもな。
ただ、日本を始め中国や韓国みたいな極東のこの辺の地域だけ、ちょっと他の国々とは異質なのかなって感じねえか?。
繰り返しになるけど俺の場合「天野」っていう一族名が先にきて、個人を現す「若男」って名前は後ろ。もちろん、よほどアメリカナイズでもされてない限り、初対面で名前を呼んでくれなんてまず言わんだろ。
いったいこれは何なんだってな。やっぱり個人よりもバックボーンを重要視する民族性があるんじゃないかって。仕事で人に会えば「○○会社の○○です」な〜んて紹介されるし、自分でもついそう言っちゃうよな。その○○会社が財務省や大手銀行や大企業なら、それだけで個人まで信用されちゃう。大きな組織内に属してるから信用される訳で、同じ仕事をしても組織に属さなきゃーほっとかれるってな。」
記者 : 「そうなのかなあ?まあそういう一面は否定出来ないけど・・・・?」
天野 : 「もう一つ。日本では一芸に秀でた人。この道何十年という一筋に生きた達人が何よりも尊敬されるよね。何てったって最高位は人間国宝にまでなっちゃう。最近は大学入試に自己推薦枠なんてのが出来たり、自治体の採用試験なんかにもあるだろ。もちろん民間企業も。
いろんな分野で人並み以上のことが出来たって、そんな奴は振り向かれもしない。この道一筋、その分野だけなら100点、って人にありがたみ感じちゃうんだな。
だから日本ではスポーツの五種競技・十種競技なんていう発想はまず生まれない。中途半端にいろんな競技をするんだったらひとつに打ち込め、ってなっちゃう。一般的には精々トライアスロンまでだよ。
でもさー、そうかなあって思うんだよね。」
記者 : 「つまり万能の天才がいたとしても、万能としては認められないってことですか?。あるいはいくつか秀でたものを持っていても、まわりから一つに絞られちゃうってことかな?。」
天野 : 「そういうことだよな。
でも天才だなんて言わないよ。何で一芸だけに絞っちゃうのって。誤解がないように言っとくけど、決して「一筋に生きた達人」を軽んじているわけじゃない。むしろ俺にはとうてい真似の出来ないその術に感服の念を禁じ得ない。ただ同時に、金メダルは持ってないけど様々な分野でそこそこ実力ある人がいたとしたら、それはそれで同様に評価を受けてもいいんじゃねえか、っていうこと。総合力の評価だね。」
記者 : 「っというとつまり・・・・・?。」
天野 : 「いやいや、結論って言われると困るけどさあ。
何でも集団に飲み込ませてその一員でないと信用されなかったり、秀でたものがないだけで世に出られなかったり。そういう人がいっぱい眠ってるはずだって言いたいだけ。前にもこのページで言ったと思うけど、少なくても俺の仕事に関しては何よりも総合力なんだよね。」
記者 : 「ああー?それって天野さん自分のことが言いたいんだー。」
天野 : 「うっ・・・・^^;」
記者 : 「でもほんとに実力があれば世に出られるんじゃないですか?。世に出られないってことはそこまでの実力なんだって言われますよ。」
天野 : 「そう、みんなそう言うんだよ。世に出られないのは所詮実力がなかったんだって一括りにされちゃう。
でも俺は違うと思うな。それは単に世に出回ってるその手の話が常に「勝者の弁」だってことだけ。一方的に成功話ばかり聞いて、ほんとにそれが真実なのかって言えばかなり怪しいと思うね。「私はこうして成功した」っていう類の話ははっきり言って聞き飽きた。そんなの個人の思いこみを成功した都合いい部分だけ抜き出してまとめただけだろ。だいたい、いつか自分のライバルになるかもしれない奴らに、果たしてみんながみんな本音を言うかいな?。仮に本音だったとしても、そりゃー自己陶酔か社会欲って奴じゃねえの?。俺にはテメーの名を残したい、っていう自慢話にしか聞こえないね。あなたはスゴイ、ホントによくやった、って褒めてもらいたいんじゃないの。別にそれも否定はしないけどさー、たまにゃー負け犬の遠吠えだって聞いてみたいだろ。やっとそういう話も(本も)多少出るようにはなったけど、やっぱり成功話と失敗話の両方を聞いて初めて比較が出来るし、そこから自分なりの判断が生まれるんだよな。」
記者 : 「まあ、そう言うこともあるかなあ?。僕には愚痴にしか聞こないけど。」
天野 : 「オッ!ドキッ!!。・・・・はい、愚痴でした・・m(_ _)m」