最終更新 2011年 3月28日 |
日本で長らく、もっとも人気のあった(過去形に大意はない)外国製スピーカー・システム・メーカー。それがJBLとタンノイである。遙か以前から両者は事に触れては比較評価の対象となってきた。特に米・英両国、又は米・欧両地域の伝統と音楽性を示す、日本においての指標であり代弁者とされてきた。 曰く、JBLは歴史的にクラシック音楽を持たず伝統の薄いアメリカにおいて、自ら発祥となったジャズ音楽やポピュラー音楽をリアリティもって再生すべく・・・・ 曰く、タンノイはヨーロッパに深く根ざしたクラシック音楽の伝統により、いかに音楽性をもって再生するかを代名詞とした・・・・ ジャズ、ロックならJBL、クラシックならタンノイ、それが正解とされてきたのであった。 しかし70年代末、互いに伝統だけでは食っていけない時期であることも十分承知していた。JBLもタンノイも専門性より普遍性を求めたのである。専門性にこだわっては生き残れないと悟ったのだ。 民間企業は利潤の追求を最大目標とする。当然の如くガタイが大きくなれば食べる食物も多くなる。まして会社を健康に保つため偏った食事はうまくない。限られた食物より、より多様な食物をまんべんなく食べた方が健康的なのだ。バランスの良い食物摂取により大きくなったガタイを維持し、結果として多くの利潤を得ようとした。 資本の転換もあろう。株主の要求もあろう。会社としてはそれでよい。路線転換は成功し新たな信者を多く吸収したことだろう。 が、しかし、同時に失ったものはなかったのだろうか? ちょっと個性的だった子供が、どこにでもいる普通の大人になり果ててはいないだろうか? 両社のファンに、洗練されたオールマイティーさを望む人がどれほどいるのだろうか? 幸い息の長いセットも現役として作り続けられているのだが、いずれそう遠くないうちに消えていく運命であろう。 決して懐古趣味ではない。 さよならJBL。さよならタンノイ。 |
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