某有名女優が宣伝する高級石鹸じゃない。
ラックス(LUXMAN)は日本が誇る高級アンプメーカー。
あえて「日本のマッキントッシュ」とでも言ってしまおう。
その昔、ラックスは数々の名管球(真空管)アンプを輩出していた。
CDが普及する以前、レコード(アナログ)音楽が全盛だった時代、オーディオにこり始めた少年達は同時に自作にこだわる一団も生んでいる。
ラックスは「ラックスキット」のブランドでそんな少年心をくすぐるに十分なキットを、それも完成品とまったく同じ内容で提供していたのである。
完成品の概ね30%引きくらいで売られていたそれらキットは、自作マニアに開かれた大きな門戸であった。
実はかく言う私もその一団の一人で、プリもパワーもいくつか製作しては自己満足に浸っていた過去を持つ。
さて、先に日本のマッキントッシュと述べたが、私、個人的にはむしろマランツの管球アンプに近い音の傾向を感じている。
決して出力ばかりを競うアンプではなく、暖色系のハートウォームな音である。
特筆はそんな暖色系・軟質系(←キンキンの硬質系に対してという意味で軟弱という意味ではない)でありながら、スペックには現れない十分な馬力を持っていたこと。
そんな音色に魅力を感じるのである。
これは勝手な想像だが、おそらく出力管や電源のスペックにはかなり余裕を持たせていたと思われる。
ホントは50W以上出せるのだがスペック上は30Wを上限とする、というような使い方である。
贅沢な使い方である。
もちろん、真偽のほどは定かでないが・・・・
やがてトランジスタ時代、ラックスは独自の回路構成を経てA級出力にこだわった。
いや、出力ばかりでなくドライブ段なども含めた、いわゆるピュアA級動作である。
音も回路も、何をもって「ピュア!!」、っと言うかは百人百葉。
袋小路におちいるのでそこを論じるのはやめておこう。
但し、ハイエンドオーディオでしばしば用いられるA級動作が、その最悪の効率という犠牲の上に最良の音を求める一手段であったことは間違いない。
80年代頃から、海外メーカーを中心に脈々と続く超ド級(超怒?級)アンプ群。
どうも電気代を気にするような(私のような)小市民には縁がないアンプ達。
が、そこを「ちょこ」っとくすぐって見せたのは、またラックスだった。
ラックスが意図したかどうかは分からない。
しかし、そこは見事な「ニッチ眼」でもあった。
モノラルパワーからプリメインまで、その充実ぶりは一世を風靡するのに十分な実力を兼ね備えていたのである。
さて現在、さすがに上述のような視点は陳腐に映るかもしれない。
他項でも述べたように、長期構造不況業種のピュアオーディオ界のこと。
生き残りをかけた資本の移動や整理も少なくない。
ガンバレ!ラックス!!。ガンバレ!日本オーディオ界!!
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