キャメル   No.06  990801
 
「こりゃまたいきなりマイナーな」って言われそうなのが今回の「キャメル」。確かにこれまでの超有名バンドと比べるとグッとマイナー。知る人ぞ知るという感じは否めない。まあ、あえて有名どころと比較するなら、キング・クリムゾンとソフト・マシーン(こっちもマイナーか?)を足して、キャラバンとピンク・フロイドを振り掛けたたようなロック・バンドってところか?。
詩を付けて歌ってもいるのだが、多くはつぶやきのようなもの。音楽の中心となっているのはインストである。その意味では大御所ジェフ・ベックと多少通じるところもありそう。但し、ベックがギター・インストの王道を突き進んだ第一人者であるのに対し、こちらキャメルは叙情的とも官能的とも言えそうなロック・インスト・バンドとなった。この手のバンドの多くが(前出のキング・クリムゾンやソフト・マシーンなど)やがてジャズに傾倒していく中、キャメルはメンバーチェンジ後も比較的ロック・インストの枠を出なかったようにも思う。
その昔、クラシックの組曲を真似てかいくつかの曲を連ね、1曲が20分以上あるような大曲がレコードの片面を飾ることがあった。いわゆるプログレ系のバンドに多い訳だが、ピンク・フロイドなど最たる例となろう。そしてキャメルもまた、そちら系の代表選手だったのである。
もっとも、キャメルの曲そのものは決して長くはない。けっこう細かく題名がついてたりする。特徴的なのは全体として一つの方向性を打ち出し、連続して演奏されるところにあった。その意味では交響詩という言い方の方が適当かもしれない。ロック的に言えばコンセプト・アルバムってやつであろう。
70年代中期から80年代初期にかけて活躍したキャメルのオリジナルメンバーは4人。実質的リーダーのAndrew Latimer(ギター・ボーカル・他)、Andy Ward(ドラムス)、Doug Ferguson(ベース)、そしてPete Bardens(キーボード)である。各々詳しい経歴はCDのライナーノートに載っているのでここでは省略するが、90年代になって復活したのには少々驚いた。オリジナルメンバーこそAndrew Latimerだけとなったが、そんな最近の演奏は益々叙情性を高めていて、リーダーLatimerの思い入れバンド的色彩が強い。したがって気に入るか入らないかはひとえに、この人の音楽を気に入るかどうかと言っていいだろう。
アルバムはやはりオリジナルメンバーによる初期作品がいい。
No.3アルバム「MIRAGE」 DERAM(ポリドール)POCD-1821
No.4アルバム「THE SNOW GOOSE」 DERAM(ポリドール)POCD-1822
No.5アルバム「MOONMADNESS」 DERAM(ポリドール)POCD-1823
個人的には「ミラージュ」も捨てがたいのだが、名作としてより名高いのは「スノーグース」。全編インストによるコンセプト・アルバムである。筋を持った情景を描写したという意味ではまさに交響詩となった。実際、泣きのギターを散りばめたロックには違いないのだが、これならクラシックファンにも受け入れられよう。もちろんロックファンは言うまでもない。
 
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