炮 烙 峠 (ほうろくとうげ)
最終更新 2008年 5月26日 
 

小峠と同じく甘楽町秋畑と藤岡市日野を結ぶ標高860mの峠。

峠までは甘楽側のみ全面舗装済み。道幅は下部が狭く、上部は乗用車が走りながらでもすれ違い可能。

但し、藤岡側は昔のままで、ドロドロ、凸凹、路肩崩落、急坂細道等何でもあり。乗用車の通り抜けは困難。

展望は尾根と平行に藤岡側に100m程下ると右手の伐採地から、浅間山を中心にほぼ180度の展望がすばらしい。

 
注記)
2008年5月現在、甘楽側は昨年9月の台風9号による大雨のため大規模な地滑りが発生し、現在復旧工事中ではあるが当分の間通行止め。藤岡側は法面の崩落や落石などあるものの、峠まで車両通行可能。
寸断された林道 大規模な地滑り

左) 寸断された林道
右) 幅100m、長さ数100mに渡り大規模な地滑りが発生。復旧工事も始まってはいるが当分の間通行不能。
 
地図 : 1/2.5万地形図 「上野吉井」
昔の地形図はこちら
 
峠道入口峠道入口

峠道は秋畑の中心街「梅の木平」を過ぎて最初の集落「内久保」より、写真の橋で県道から別れる。
右のGSがよい目印となるだろう。
秋畑で他にスタンドあったかなあ?
地元では「マス池はどこですか?」と聞けば間違いなく伝わるだろう。
ちなみにこの写真の左にそのマス池がある。
林道起点林道芳の元線入口

県道から別れ1km余りでそのまま写真の「林道芳の元線」に続く。
炮烙峠までは残り6km弱。
距離が長いため急坂はない。
ここまで一本道で迷うこともないだろう。
杉植林の道杉植林の道

林道は初め、大きく育った杉植林の薄暗い道へ入っていく。
すぐ分岐が2カ所あるが、いずれも直進であり間違うことはないだろう。
植林内の道は林道入口から全体の半分以上を占め、見通しは悪い。
道幅も上部より狭いので対向車に注意。
特に↓の写真でもわかるよう、伐採済みの木材を満載した大型車には要注意。
伐採伐採の始まった植林

前述のように、528m標高点のある沢の所では伐採が始まっている。
近いうちに付近の眺めは一変してしまうかも。
展望は良くなるだろうが、やはり禿げ山は悲しい。
願わくば広葉樹の復活を望みたいが、はたして「あの話」がホントならこれも計画の一端なのだろうか?
あの話は→後述
738.5m三角点付近738.5m三角点付近

地図上の738.5m三角点付近がここ。
道幅も下部よりだいぶ広くなり、長い植林内の道もそろそろ終わり。
明るくなった林道からは所々展望も得られるようになる。
炮烙峠炮烙峠

昔(20年くらい前?)、初めて来た時は砂利道のもうもうたる土煙の道だった。
それが今は快適な舗装道で峠まで・・・・。
もっとも、峠付近の様子は昔と大差なく、何度も訪ねる理由ともなっている。
尚、峠には2〜3台程度の駐車スペースがある。
比較的道幅も広く、小型車なら2〜3回の切り返しで旋回可能な程度。
展望は×。
ところで右端の張り紙は?
張り紙張り紙

出ました。
その張り紙がこれ。
すでに付近ではお馴染みの張り紙で、この峠だけでも数カ所にある。最近甘楽を含む西上州一帯では各地でやたらと目にするようになった。
熊の生活領域に人間が入ったのか?各地で追われた熊が人の目にふれやすくなったのか?
正解はたぶんその両方で、中でも後者の影響が大きいのはほぼ一致する見解。
そう、ダム工事である。
ここに限らず山では間違っても生ゴミやお菓子を捨ててはいけない。もちろん土中に埋めても熊の嗅覚はそれほど甘くない。それは無恥だと恥ずべき行為である。
誰かのそういう餌付け行為が熊と人間を接近させることを肝に銘じて慎まなければならない。
 
以降の写真&文は掲載当時のものです。2008年5月現在、藤岡側は新たに林道「奈良山線」の開通により様変わりしました。
峠藤岡側直下藤岡側直下からの峠

峠を越えて藤岡側に入ると、途端にご覧のダートとなる。
車1台がやっとの道幅。
轍は深く路面も悪い。
写真では奥の左カーブの先が峠頂上。
四山展望四山展望

藤岡側に100m程下った右手が伐採地。
すでに植林されてはいるが、まだ植え付けたばかりで1m前後。
しばらくはこの展望が楽しめるはず。
左に高く藤岡市・万場町・中里村の最高峰「赤久縄山(1522.3m)」。
中央に小さく三角の山が下仁田町の最高峰「白髪岩」。
そこから右に二つ目の緩いコブが甘楽町最高峰「JP(1377.5m)」。
右にちょっと低く(それでも1370mあるが)「稲含山」である。
浅間山展望浅間山方面展望

同じく伐採地より浅間山方面の雄大な展望。
やや右奥にかすかに浮かぶのが浅間山。
肉眼ではハッキリ、でも写真ではちょっとツライ。
PLフィルター使ったのに・・・・
やっぱり行って見るっきゃない?
乗用車は乗用車はここまで?

峠より藤岡側にわずか300m。
でも乗用車ではもう限界。
一応、道の状態を知ってる私だからここまで入った。
一般にはこんな所まで入ってはいけません。
たとえスタックしてもこの山道ではレッカーは入りませんよ。
もちろん、休日でも人に会うことはまれだろう。
道標道標

↑の写真で車の後ろ、右カーブの向こう側は三叉路になっており、その分岐にこの道標がある。
「御大典記念、日野村青年舎、昭和三年十一月」などと彫られている。
御大典というのは日付から想像して、昭和天皇御即位記念ということだろうか?
他に「秋畑村」の記述もあり、いずれにしろ少なくてもその時期には、甘楽と上日野の交易路として峠の往来があったことを証明している。
尚、三叉路の枝林道は数百m先の伐採地で行き止まりとなっており、更なる悪路のため入ってはならない。
藤岡側林道路面藤岡側林道路面

同じく↑の写真の反対側はこんな様子。
ご覧のように路面に大きな起伏があり、一般の乗用車ではスタック間違いなし?
おまけに道幅は狭く路肩は不安定。
たとえ四駆でも通過には相応の覚悟の上、責任を持って。
・・・って言うか、地元林業関係者やバイク以外は入ってはならない。
 
峠入口は小幡・秋畑(梅の木平)と過ぎ、いったん家が途切れてから再び現れるとすぐ右にGSがあり左に橋が架かっている。峠方面へはこの橋を渡れば一本道のため迷うことなく辿り着けるはずである。途中、下部の畑地から遠く高く見える稲含山や赤久縄山が、上部ではだんだん迫ってくるように見える。甘楽側全面舗装の峠道は路面も安定しており、対向車(実際は滅多にあわないが)に注意すれば安心して走れる道である。

昔は峠道の上部全体が展望の道だった炮烙峠も、現在は頂上からの展望はほとんど無くなってしまった。それでも昔の面影は現在も色濃く、ちょっと車道を外れれば分厚い落ち葉の上で弁当を広げるのも楽しいことだろう。比較的簡単に行けて静寂。晩秋から初冬の日溜まりでのんびり、そんなシチュエーションなら甘楽でも最高位にランクしていい。
尚、展望は↑の写真でご紹介した通りなので、藤岡側へわずかに歩けば問題なく満喫できる。
 
現在の林道奈良山線現在の林道奈良山線

上写真にある道標の石柱前に現在は立派な林道が走るようになった。
途中の法面に一部崩落や落石など見られるが、2008年5月現在車両通行に問題は無かった。
 

こぼれ話

20年ほど前、バイクや四駆で峠を横断していた当時は小峠と同じく、雨上がりはグチャグチャ晴れればモウモウの土煙。バイクでさえ何度スタックしたことか。
それが現在は甘楽側はまったく快適。ダートの藤岡側さえそれでも当時よりは良くなった・・・・かな?。
藤岡側頂上付近の茅場から展望できた御荷鉾などの山々。現在雑木越しでまともに見えないのがちょっとさみしい。

さて、前述の「あの話」である。
何でもこの炮烙峠西斜面に首都圏からもっとも近いことをウリに、人工スキー場を作ろうかなどという話が持ち上がっているらしい。確かに小幡から見える熊倉山北面は一度雪が降るとかなり遅くまで残り、その尾根続きである炮烙峠西面も同様であろう。そこに大規模な人工降雪設備を作れば、まあ冬場の農閑期に・・・・ということなのだろうか。
私もスキーをするので生意気なことは言えないが、う〜ん・・・・???
確かに山の斜度といい冬場の天候といい、実現すればけっこうなものにはなろうがやっぱり???
単なるウワサなのか、多少なりともマジで考えてる人がいるのか???
峠自身の行く末も心配だし???
一つだけ間違いないのは疑問だらけのこと?

 
 

2005年11月30日追記

2005年11月下旬現在、以前から工事中だった藤岡側(日野側)の林道拡幅工事も完了。現在はダートだが、やがて舗装されることになるのだろう。「工事中」「進入禁止」などの標識は残されたままだが、ゲートがある訳でもなく乗用車の通行に支障はない。特に通行禁止の処置は執られていないようだ。
但し、実際の通行は自己責任で。

 
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