裏妙義/谷急山/並木沢遡行

二条の滝より上越国境遠望
二条の滝落口より上越国境の山々を望む

妙義山塊ではもっともスケールの大きな沢。とは言え、中部山岳の沢とは比べるべくもない。

最初に現れる高さ30m程の「大滝」を直登する場合は右岸から登る。但し、確保は絶対条件。

上流の大滝「二条の滝」も確保は必須。他にも確保を必要とする滝が多い。行動はくれぐれも慎重に。

 

グレード : 5  判断基準

ルート : 登山口→牛名の滝→大滝→階段の滝→二条の滝→源流の大滝→源流→谷急山→三方境→下山道→登山口

総歩行時間(休憩含まず) : 日帰り装備+登攀具にて 登り3.5〜4時間。下山2時間〜2.5時間

登山適期 : 10月〜11月中旬 及び 4月中旬〜5月

地形図 : 南軽井沢

駐車場所 : 登山口には駐車スペースがない。
         100m程手前の入山川を渡った橋の広い路肩を駐車スペースとして利用する。
         付近の民家に迷惑とならないよう気をつけること。

 

ガ イ ド (99年4月30日現在)

1.並木沢ルート登山口から民家の前を通り林道に入る。左下は美しい滑と小滝が連続する並木沢本流。間もなく標識のある分岐を右の荒れ気味な旧道に入る。沢へは「牛名の滝」手前のザレ地を越えて下降し滝上に出る。

2.並木沢は最初ゴーロが続きやがて最初のゴルジュに入る。滑滝を見ながら右岸をへつって通過。再びゴーロの後両岸が大きくせり上がると右に回り込んで「大滝」に出る。

3.大滝は高さ40m程の岩壁の割れ目に沿って一筋となって流れ落ちる、3段30m程の文字通り大滝。直登する場合は右岸を登るが3段目がかなり厳しい。ロッククライミング経験者以外は不可。2段目3段目は濡れていることが多く、確保必須の手強い岩登りとなる。
以前の紹介ルートは、右岸の手前に張り出した支稜を立木伝いに大きく高巻いて落口上部に下降するとしたが、今回は左岸のチムニー状ルンゼをルートとする。

4.チムニー状ルンゼは上部が垂直となり途中で左にトラバースして逃げる。逃げた先は滝壺の真上となる岩稜上で、ここからが手強い。私は右から数m登って左の立木へトラバースした後草付きと岩を突破した。ルート取りは他にも可能と思うがその場の状況判断を誤らないよう注意のこと。終了点の立木には残置されたシュリングが2本ある。
尚、単独で登ることは妙義に精通した経験者による例外としたい。通常はこのルートも確保は必須である。

5.大滝落口は二俣で左が本流の滑滝。先のルートからの下降は右俣の合流点近くに降りられる。
本流は美しい滑が続き、すぐ正面に5段30mの幅広の滝が見える。直登不能のこの大滝は三方境へ続く支流で、水量が多い場合本流の大滝以上に見栄えが良い。本流はここでやや右に曲がる。

6.わずかで又二俣となり、ここは右真横から落ちる15m程の階段状の滝が本流である。階段の滝は左岸を登るが濡れていることが多くスリップに注意。確保をした方がベター。

7.滑とゴーロの後右に回り込んで「二条の滝」。左右に分かれて落下する二条の滝は2段40mの大滝で、手前に4〜5mの小滝3つを従えながら大変見栄えが良い。ルートは色々取れそうだが今回は上下の段共左岸を登った。

8.1段目は左岸上部のバンドを目指して登る。まず右岸から水流の中を左岸に渡り、半分濡れた壁を注意しながら登る。バンド下部は手がかりが遠く、滑りやすい濡れた草付きに注意。バンド上部は乾いていて問題ない。1段目の上部から2段目の落口までは並木沢唯一の明るい展望が開ける。
2段目も同じく左岸の濡れ気味の壁を登る。こちらも上部は乾いていて快適。運が良ければ岩壁に可愛い花々の姿も。
尚、二条の滝も確保は必須である。

9.落口から50m程の滑を過ぎると二俣。左も面白いが本流は右である。左右から支流を見送ると上流の二俣着。右は涸れたゴーロ。左の本流はすぐ巨大なチョックストーンに塞がれる。ここは高さ6m程の右岸からチョックストーン横を快適に直登する。続いて左にゴルジュ状のルンゼを見送ると3段20m程の「源流の大滝」。

10.源流の大滝は右岸を登り立木伝いに1段目落口にトラバース。2段目以降も問題ない。再び現れる巨大なチョックストーンは左から越える。続く二俣を右に入れば最後の源流の二俣となる。ここには毒草として有名なハシリドコロが非常に多い。通常ここでは水は期待できないため、先の二条の滝上部付近で補給のこと。

11.二俣を左に入り間もなく右からの涸れたゴーロを見送ると上部はルンゼとなり初めて稜線が見えてくる。登行は土と落ち葉の詰まった右のルンゼに入り、左に曲がってまもなく右の斜面に逃げる。後はルンゼ右の急斜面から前方の稜線を目指せばよい。ヤブもなく飛び出した稜線は正面が大黒乗越の尾根、左が三方境、右が目指す谷急山で15分程である。

12.谷急山からの下りは急傾斜の岩稜だが北稜からがもっとも早い(裏谷急沢のページ参照)。縦走路を三方境に戻って並木沢ルートに降りる一般道は、三方境までアップダウンがきつく案外時間がかかる。時間優先なら前者、安全優先なら後者である。

    
左)並木沢登山口(左の電柱裏)  中)旧道分岐(左新道・並木沢は右の旧道へ)  右)牛名の滝上の遡行開始点

      
左)最初のゴルジュを振り返る  中左)大滝全景  中右)左岸のチムニー状ルンゼを見上げる  右)上部の岩稜

      
左)支流の5段の大滝  中左)階段の滝  中右)中流のゴーロ  右)二条の滝(下からはほとんど1段目しか見えない)

    
左)二条の滝2段目  中)二条の滝落口からの展望  右)源流の大滝(奥)

    
左)稜線へのルンゼ・途中で右に逃げる  中)終了点の尾根・左から飛び出る  右)谷急山山頂からの浅間山

    
左)谷急山山頂より表妙義  中)同じく山頂より西上州の山々  右)谷急山山頂

 

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