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妙義山/大沢から相馬岳北稜

相馬岳北稜の見晴らしより裏妙義(中央下は国民宿舎)

廃道となって久しい大沢の旧道を訪ね、変化に富む相馬岳北稜上部を縦走する。

大沢は上流に、三段、合計高さ40mほどの大滝「仙人の滝」を有する。

北稜は途中から厳しい縦走となるが、「北稜の見晴らし」「はさみ岩」「仙人窟」など見どころも多い。

尚、ルートファインディングの正否により地図上で見た目以上に時間がかかるので、出発はなるべく早めに。

 

グレード :   4  判断基準
ルート : 大沢出合→仙人の滝→源流→相馬岳北稜→富士稜分岐→仙人窟→相馬沢→相馬沢出合(中木川広河原付近)→(車道歩行4.7km)→大沢出合
総歩行時間(休憩・車道歩行含まず) : 5〜6時間程度(ルートファインディングに大きな間違いがない場合)
登山適期 : 4月中旬〜5月中旬 及び 10月中旬〜11月下旬
地形図 : 松井田&南軽井沢
駐車場所 : 大沢出合に3〜4台可能

  

 注記)

大沢、相馬沢とも何カ所か古いケルンや赤テープなどの目印はあるが、一部を除きあまりあてにしない方がいい。又、目印の無かった北稜上は最近多くの赤テープなど付けられている模様である。正しいルートを案内しているのかどうか分からないが、本登行録とすり合わせを願いたい。
北稜に入って以降は塾達者に限られた厳しいルートである。安易に入らないようご注意願いたい。
尚、大沢だけなら中級者向き。但し、当てにならない踏跡もあるので、ルートファインディングは慎重に。

 

 ガ イ ド (2000年4月29日現在)

1. 大沢出合は「アンデルセン牧場」すぐ上流の「大沢橋」。右岸の荒れた林道を入るとすぐ右に堰堤がある。5mほどのF1を左岸から高巻きしばらく沢床を歩くと、左岸(右手)7〜8mの高さに廃道となった旧登山道が見える。
旧道は思いの外明瞭でいったん右岸に移った後F3の上で左岸に渡り返す。以後「乙女の滝」上で大岩折り重なる沢身に戻るまで左岸の道となる。まだ使えそうな炭焼き跡横を通過し、沢からやや離れ気味に左岸を登る。道はやや不明瞭となりヤブも現れ始めるが通過に困難はない。
2. 「乙女の滝」付近では両岸が狭まる。左手下の本流には滝が連続しているようだが、どれが「乙女の滝」なのか特定出来ない。
本流に戻ると沢幅いっぱいに軽く数100トンくらいはありそうな大岩が折り重なり、天を突くような急傾斜となる。凄まじいゴーロは通過にルートファインディングも必要。左岸は垂直の大岩壁、振り返ると妙義富士がほぼ水平の高さに見える。
3. ゴーロが終わると「仙人の滝」が現れる。
三段の滝だが下からは一段目しか見えない。登路は右岸につけられ、一段目は階段状で難なくクリア。二段目は左手からのルンゼを登る。三段目も左手からトラバース気味に登り落口に出るが、濡れていると危険なので丈夫そうな灌木を手がかりとする。特に下降時は大沢でももっとも危険なところだ。
4. 滝上からはナメと小滝の連続する沢筋を右岸中心に登る。やがて傾斜が緩くなり再びゴーロが現れ始めると左岸の道となり源流は近い。標高950m付近が最後の二俣で左に登ると表妙義縦走路までわずかである。右は北稜がすぐ横。源流直下は沢床が岩盤となり消えていた水流が復活する。標高1000m付近の湧水部で相馬岳北稜と同じ高さに変わり、右手水平に15mほどで稜線上に出る。
出合からここまでルートファインディングを考え余裕を見るなら3時間程度はみたい。
5. 北稜には細い踏跡がありヤセ尾根を注意しながら下る。やがて妙義特有の古い火山岩が剥き出しとなった「北稜の見晴らし」に出る。右に天狗岳・相馬岳が近い。左は中木川を挟んで裏妙義の稜線の向こうには浅間山の姿も。風がなければ休憩には絶好の場所だ。
6. すぐ先のコブ付近から道が急に怪しくなる。ここからルートファインディングに要注意。
コブは左へ回り込んでかわし、いったん稜線から右に下る。突き当たった岩場はまっすぐ登りたいところだが、右の笹との境を登るのが正しい。続く北稜を左に下るとわずかで富士稜分岐。以前何もなかったこの分岐には最近赤テープが何カ所も巻かれ、かなり賑やかになった(2000年4月29日現在)
私は未確認だが巻かれたテープの中には「北稜方面赤テープいっぱい」との記入もあり、現在では以後の説明と異なる箇所もあるかも知れないのでご容赦願いたい。
7. 分岐から北稜の「はさみ岩」方面へ急下降する。この日、途中の大木には人の手ほどの真新しい四つの大きな爪痕がくっきり。念のため注意を。
下りきった最初の岩峰を右から巻くとはさみ岩。名前は岩の形を見れば納得。
8. はさみ岩から右に下り気味の踏跡があるが、小竹沢の急峻なルンゼをトラバースするようになり危険。上向きに岩壁右側(小竹沢側)基部近くを巻くのが正解。続けて次の岩峰も同じように進むと仙人窟である。
9. 「仙人窟」は高さ1.5m、幅4〜5mほどの石門風。裏側(相馬沢側)には高さ1〜1.5mの岩屋も。全体は傾斜しているものの広々として雨宿りには最適。岩屋からは裏妙義の展望も良い。眼下には国民宿舎も見える。付近は鹿をはじめ動物の足跡がいっぱい。
10. 相馬沢への下降点は仙人窟を過ぎた左の大木に古い白ペンキの目印がある。見落としやすいので注意。道はあてに出来ず相馬沢の枝沢を下ることとなるが、200mほど下った所で大きなチョックストーン上に出る。ここはわずかな下降なのだがザイル必須。尚、付近に他の下降路は確認出来なかった。
11. チョックストーンを下降するとすぐ大きな二俣。朽ち果てた炭焼き跡がある。右に大岩壁を見て相変わらず不明瞭な踏跡を下ると、再び朽ち果てた炭焼き跡と岩屋があり本流と出合う。
水量こそ少ないが豪快な相馬沢本流の主に右岸を下り、時々沢床に降りる。やがてチョックストーンの詰まった滑滝上に出ると、右岸をへつるように道が付いている。更に杉植林が出てくると対岸の左岸に道が現れ出合は近い。出合は妙義湖最奥の橋のたもとである。以前は相馬沢ルートを示す大きな標識もあったが、現在は朽ち果てている。
ここから舗装道を進めば大沢出合まで4.7kmの道のりとなる。

 

  
左)出合付近の廃畑前より大沢、右は妙義富士  中)登山口の堰堤  右)大岩ごろごろの中流部
 
   
左)妙義富士を振り返る  中左)仙人の滝一段目  中右)同二段目、奥に三段目  右)大沢左岸の紅葉
 
  
左)大沢源流  中)北稜の見晴らしより裏つづみ岩  右)同見晴らしより天狗岳(左)と相馬岳(右奥)
 
  
左)同見晴らしより裏妙義全景  中)石門風の仙人窟  右)仙人窟の裏にはこんな岩屋も
 
  
左)巨大なひさし状の仙人窟  中)相馬沢下降点付近を見上げる  右)チョックストーンの詰まった相馬沢(高さ5m下降にはザイル必須)
 
   
左)二俣付近の相馬沢  中左)振り返った中流右岸の道跡  中右)相馬沢登山口   右)妙義湖畔の紅葉
 
最終更新 2007年12月24日
 
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