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妙義富士
最終更新 2005年12月13日
富士稜と妙義富士(岩稜先端が妙義富士)
表妙義白雲山の裏側、大沢を挟み相馬岳北稜から派生する顕著な岩稜「富士稜」の先端に位置する。
昭和初期までは登られていたらしいが、現在では廃道となった細い踏跡を訪ねることとなる。
標高こそ800m余りと低いが、立木もなく四方が切れ落ちた岩塊上の山頂である。
アルプスなどの針峰に立った気分はこんなものかな、と感じさせる。高所恐怖症の人はやめた方がいい。
360度のすばらしい高度感は毛無岩など問題とせず、鷲・鷹になったつもりで世間を睥睨する気分。
岩慣れた人ならザイルを必要とする程ではないが、強風時の登山は避けた方が賢明。
コース : 登山口(廃畑前)→ケルンの支稜→旧道支稜→涸沢→北稜→妙義富士→北稜→涸沢→旧道支稜→旧道登山口→車道→(車道歩行0.3km)→登山口
総歩行時間(休憩含まず) : 2時間半程度。但し踏跡を見失うとその限りでない。
登山適期 : 4月中旬〜5月中旬 及び 10月下旬〜12月上旬
地形図 : 松井田
駐車場所 : 大沢近くの廃畑前、旧道側双方共登山口となる車道の路側帯に4〜5台の駐車スペース有り。
ガ イ ド (2000年4月29日現在)
1.大沢登山口にほど近い廃畑前の路肩駐車帯に車を置き登山を開始する。正面の廃畑の廃屋を目指し、その右手から巨木となった桑の間を縫って強引に左の支稜に取り付く。
2.支稜は上部までけっこうなヤブで擦り傷に注意。標高525m付近でいったん平坦となるとケルンが現れる。右に見える旧道支稜に入るべく踏跡に導かれてやや右に急登すると、最後は15m程の岩場登りとなる。
3.飛び出た旧道支稜には案外はっきりした道と、灌木に空き缶を刺した目印がある。ここからなお支稜を直進する赤テープがあるが、正しくは右前方の涸沢を目指し、いったん10m程下降した後トラバースする。
4.現れた涸沢はまばらな大木と以外に大きな沢の様子に驚かされる。水はあまり期待できないため下から用意していくこと。登行は左岸の沢沿いを細い踏跡頼りに標高差にして60〜70mほど登る。尚、左岸よりやや離れた所にも平行して踏跡があるが、滑りやすい傾斜地となり先の沢沿いの方が安全である。やがて岩場に突き当たり(倒木あり)、ここで右折して大きな倒木をくぐる。ここから前方の岩場を回り込めば、大量の落ち葉が積もる涸れたルンゼ状地の登行となる。ここを右上に登り着いた岩稜が「妙義富士北稜」とも呼ぶべき、顕著な岩稜となる。
尚、ルンゼ上部から岩稜手前を左に登る踏跡があるが、急傾斜地のトラバースとなり危険なため岩稜ルートを選ぶこと。
5.残り標高差100m余り。ルートは岩稜を外れることなく、立木と灌木に掴まりながらの登行である。大きな危険はなく高度感も少ないが、灌木を払いながらの登行となるので顔や目を痛めないよう注意のこと。やがて岩稜の岩基部を右に巻くと最後のルンゼ登りとなり、左寄りに立木頼りで強引に登れば山頂の肩である。肩から山頂への登行は草付きと岩と灌木混じりの岩稜を15m程登るが、大沢側は切れ落ちており要注意。
6.3〜4人でいっぱい、と言うより実質的にひとりしか立てない(安全という意味ではすれ違うのも困難)狭い岩塊の山頂は別天地。大沢側は悠に100m以上切れ落ち小竹沢側も40mはありそうな垂直の壁。特に強風時は注意。まさにニードルと呼ぶに相応しい展望で、遮るものはいっさい無い。360度見事な高度感が味わえるだろう。但し、その分行動はくれぐれも慎重に。
7.尚、その山頂からの展望は、南半分が見慣れない角度からの表妙義と相馬岳北稜の岩峰群。北半分は時計回りに西から、裏妙義、浅間山、浅間隠山、遠く白砂山、谷川連峰、榛名山、赤城山、御荷鉾山、赤久縄山、稲含山など。
8.下降は肩の岩塊前に下降し、時計回りに岩を巻いてもう一つの肩に歩を進めてみよう。ここからは振り返って見られる山頂とそれに連なる壮大な大沢左岸の岩壁がすばらしい。
9.戻って北稜の岩稜を下ると途中右に枝尾根に下る道があるが、間もなく左に曲がると急峻なトラバースとなり危険(登りのルンゼ上の踏跡に続くのがこれ)。登路を忠実に戻った方が安全で、ルンゼ下降の後涸沢を下りトラバース点に出る。
尚、小竹沢側に空き缶や空き瓶を立木に付けた目印があるが、この踏跡も植林の中をすぐ涸沢に戻り道も悪いので、往路を戻った方が賢明である。
10.右隣の旧道支稜にトラバースしその尾根を下る。すぐ岩場のトラバースとなるがここではスリップに注意。以降は問題なく100m程下れば廃畑最奥の登山口に出る。この登山口は巨木となった桑畑と植林の境であり、本来ここからが旧登山道と思われる。
11.これ以降ほぼ官民境界の赤杭に沿って檜植林と廃畑の境界付近を忠実に下る。やがて右に四角いコンクリートの水タンク?がある所で左の涸沢に降りれば作業道となる。後は植林内の道を下れば椎茸栽培工場の正面付近の車道に飛び出る。
12.先の涸沢は上部と大きく異なりここでは車道脇の竹藪前に、わずか長さ3mほどのガードレールがあるだけ。橋すらなく土管で道を横切った沢は更に悲しいことに、道下で普通のU字坑に変わり果てている。この沢の水流の少なさを裏付けているようである。
登山口付近の一部はヤブを分ける。下降路とした旧道支稜もヤブという意味では似たり寄ったり。涸沢の登行は問題ないがスリップには注意。北稜の岩稜もヤブには違いないが、尾根を外れなければ困難な岩場はない。とは言え、そう頻繁に登られているとも思えない。何より、わずか800mちょっととは思えない程の展望と高度感は一級品である。
尚、山頂に標高点はなく一般に850mと言われてるようだが、持参した高度計の指示は820mであった。
又、最近所々に赤テープが付けられたが、その登路は本紹介コースを知らない人が付けたバリエーションと思われるので要注意。
紹介ルートはまったくの往復では芸がないとあえて大沢側からの案内としたが、一般的には旧道支稜の往復の方が楽であり時間的にも早いだろう。
左)登山口より妙義富士 中)ケルンの支稜 右)ケルンの支稜より山頂(左端)
左)旧道支稜 中)涸沢 右)北稜への登行路となるルンゼ状地
左)山頂岩塊、バックに逆光の白雲山 中)山頂より大沢左岸の岩壁(富士稜) 右)山頂岩塊と松井田IC付近
左)山頂より裏妙義稜線、手前は相馬岳北稜 中)肩より山頂岩塊 右)狂い咲きのツツジ
旧道登山口