妙義山/妙義富士と P2 |
双耳峰のような妙義富士(中央岩峰右)とP2(同左) |
昭和初期までは登られていたという妙義富士へ、廃道となった細い踏跡から往時の道を訪ねる 妙義富士は表妙義白雲山の裏側、相馬岳北稜から派生する顕著な岩稜「富士稜」の先端に位置する。 標高こそ800m余りと低いが、立木もなく四方が切れ落ちた岩塊上の山頂である。 針峰に立った気分はこんなものかと感じさせ、高所恐怖症の人はやめた方がいい。 360度のすばらしい高度感は毛無岩など問題とせず、鷲・鷹になったつもりで世間を睥睨する気分。 |
グレード : 5 判断基準 ルート : 登山口→旧道支稜→涸沢→支稜→妙義富士→P2→支稜→涸沢→旧道支稜→登山口 総歩行時間(休憩含まず) : 3時間半〜4時間程度。但し踏跡を見失うとその限りでない。 登山適期 : 4月中旬〜5月中旬 及び 10月下旬〜12月上旬 地形図 : 松井田 駐車場所 : 登山口近くの車道路側帯に4〜5台の駐車スペース有り。 |
注意 技術的にそれほど問われる山ではないものの、上部岩稜では「度胸一発」的な所の多いルートとなる。岩慣れた人ならザイルを必要とする程ではないが、下降時には役立つかも知れない。尚、強風時の登山は避けた方が賢明。 妙義富士支稜に入って以降は常にヤブの踏跡探しとなり、ルートファインディングを問われる。とは言え、当方紹介後、時折登山者も訪れるようになり、最近は所々にテープなど付けられた。中には本ルート以外のバリエーションもあるので誘導されないよう注意。迷うと岩壁に囲まれた非常に危険な山でもあり、ザイルでもないと進退窮まる場合も考えられる。 |
ガイド (2007年11月24日現在) |
登山口近くの廃畑前から見上げた妙義富士(写真左)。廃畑には立ち入り禁止の標識がある。 右写真は廃畑から150mほど先の登山口付近。道路左路側帯に駐車スペースが見える。向かいはキノコ工場。登山口は手前のヤブと杉植林の境目付近から入る。登山口を示す標識はない。 |
杉植林に入るとすぐ作業道があり、左に廃畑を見て進むと間もなく左写真の先で涸れ沢を渡る。 向かいの廃畑へ入り、杉植林との境付近を登るとすぐ左にコンクリートの貯水槽があり(中写真)、この後も境を登っていく。ここには本来道があったのだが篠竹が廃畑内に繁茂しはじめ、杉植林から離れない程度に歩きやすい所を登る。 間もなく右写真の立木が目印となり、ここから旧道支稜の山道となっていく。 |
支稜の登りはヤブもなく快適(左写真)。 この後だんだん急登となり、間もなく大きな岩場に行く手を塞がれる。ここは右上に岩をトラバースして登る(中写真)。高さはないが要注意個所だ。 顕著な岩尾根となりすぐ右に倒木がある(右写真)ので、斜面をトラバースしながら倒木の上を通過し、向かいの小稜線を回り込む。 |
すると涸れ沢(左写真)が現れ、この沢は杉植林と廃畑の間にあった涸れ沢の上流である。途中小滝が2〜3あるだけなので涸れ沢をそのまま遡ってもいい。 ここから沢伝いに左岸を登り、やがて登路が岩場に遮られる付近で右を見ると中写真の目印となる倒木がある。 ここで右折し倒木を越えてそのまま右に回り込むと、妙義富士支稜への登路となる落ち葉でいっぱいの枯れたルンゼ(右写真)が現れる。 |
支稜に出ると小竹沢越しに相馬岳北稜の幕のような岩壁が現れる。(左写真) 支稜の登りはヤブだが稜線を外すことはない。ヤブは手で払いのける程度とは言えけっこううるさい。やがて岩のコブにさしかかると、中写真のように目指す妙義富士の針峰が見えるようになる。 やがて岩を右に巻くと妙義富士の肩に登るルンゼが現れる(右写真)。ここは以前灌木で覆われていたが、今年(2007年)の台風9号に伴う大雨で崩れたと思われる崩壊地となってしまった。注意しながらルンゼを登り肩に出て、最後に草付きの岩場を登れば山頂だ。 |
妙義富士山頂と眼下に上信越自動車道妙義松井田IC付近と松井田の町。右に見える松の尾根は肩の突端部。 天気に恵まれれば県内一円はもちろん、遠く筑波山なども見える。以前直下にツガと思われる灌木があったが、北側に剥がれ落ちてしまった。やはり台風9号が原因だろうが、おかげで以前にも増す高度感で針の上という感覚も増した。 |
山頂岩塊と横から見る表妙義白雲山(左写真)。右は相馬岳北稜に続く富士稜の一部。 山頂から見るP2(右写真)。P2へは一旦基部まで下り、写真でハイライトと日陰の境界となっている岩場を登る。左は下写真でも分かる通り100m以上ありそうな絶壁なので、怖さを少しでも感じるようならやめた方がいい。 |
肩の岩を時計回りに回り込むと稜線伝いに肩の先端へ出られる。そこから振り返る富士稜の全貌(左写真)は大変見事だ。右より妙義富士の岩壁と中間峰、P2、ヤブのP3、少しあけてP4となる。 右写真は右より妙義富士、中間峰、P2。 |
妙義富士からP2へは一旦妙義富士基部まで下り、樹林との境を半時計回りに回り稜線まで登り返す。中間峰の岩場伝いに右へ少し下り、崩壊地を5〜6m登って岩稜を乗越す。再び稜線までヤブを登り返せば左写真のP2への登りだ。 逆光で写真にフレアが出てしまったが、飛び飛びに草の生える岩稜が登路となる。左は絶壁だが高度感に恐怖を感じなければ技術的な困難は少ない。但し、風化により岩質は脆く要注意。最後の草付きは大沢の絶壁側を背にし、足下もザレ気味なのでくれぐれも慎重に。上の富士稜写真でも分かるように、滑ったらこの世とお別れです。 右写真はP2からみた妙義富士。 |
P2より裏妙義稜線(右奥)と相馬岳北稜裏つづみ岩&ハサミ岩(左写真)。 P2より眼下の大沢左岸の紅葉(右写真)。 |
P2からの下降路は登路の反対側に降りるとすぐまた稜線上に導かれる。そこから妙義富士側に乗越し、わずかに下ってからトラバースするものだった。しかし、これも台風9号の爪痕と思われる大きな崩落(左写真)があり、4つ上の妙義富士からP2の写真でも分かるように稜線付近から崩れてしまった。前述のように元々この崩落部上部をトラバースする下山路があったのだが、すっかりフェースの岩場と変わり斜度もきつく現在は通過困難。したがって、乗越した先からヤブを立木に掴まりながら崩落地下部まで下り、そこから中間峰・P2間の鞍部まで戻る。最後にここも度胸一発の岩場のトラバースあり。 以前は岩稜登りが怖ければこちらのトラバース道を回ってP2へ登ることも出来たが、この崩落で登るにも下るにもグレードが一つ上がってしまったようだ。 一汗かいて緊張が解けると、こんな可愛い紅葉が癒やしてくれた(右写真)。 |
下山は登路を忠実に戻る。途中の涸れ沢はザイル無しでも注意すれば下ることは可能だ。 |
全面更新 2007年11月26日 |
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