裏妙義/谷急山/仏沢遡行
最終更新 2003年5月6日
並木沢と裏谷急沢に挟まれた急沢を遡行し谷急山を目指す。
仏沢はゴーロと滝群が交互に現れ、要所要所に赤ペンキや赤テープの目印がある。
とは言え、妙義の沢中でも比較的マイナーな沢で、静かな沢登りが楽しめることうけあい。
グレード : 4 判断基準
ルート : 仏沢出合→大滝→谷急山→北稜→裏谷急沢出合→仏沢出合
総歩行時間(休憩含まず) : 遡行3時間前後。北稜下降1.5〜2時間(県道歩行含む)。但し、ルートファインディングを誤ればその限りでない。
登山適期 : 4月上旬〜5月中旬、及び10月中旬〜11月中旬(但し、積雪&氷結なきこと)
地形図 : 南軽井沢
駐車場所 : 仏沢出合の谷急橋付近路肩に駐車可能3台程度。200m程離れた赤浜付近にも駐車スペース有り。
大滝上より浅間山展望
ガ イ ド (2003年4月27日現在) | |
1. | 出合の橋(この橋には谷急澤・谷急橋との記入がある)から左岸に入り、堰堤を4つ越える。いずれも通過に支障はない。下流部のゴーロをパスしたいときは左岸を歩くと良い。 |
2. | ゴーロが終わると5mの滑滝が左手側から落ち、これが本流でその左岸を登る。そのまま数十m続くナメの後、10m前後の滑滝が合計4〜5個所ほど現れる。やがて左岸に巨大な岩を抱え、下に10mほどの滑滝を従えた大岩の滝が現れる。 |
3. | ここの乗越はちょっと手強い。上部のチョックストーンの乗越に左手のツルツルのトヨに足を掛け、フリクッションを効かせたレイバックのような体勢で強引に乗越す。水量多く岩が濡れてる場合はコケなど無いか良く見極めること。 不安な場合、滝を避け巨岩を半時計回りに登れるので無理をしてはいけない。 |
4. | 滝を越えると顕著な二股。右俣側の立木には赤ペンキで左俣側を本流と示す矢印などがある。左俣の本流は再びゴーロだがこれが半端じゃない。元々小滝の連続する場所のようだが今は大部分ゴーロ状で、しかも奥に行くほど急峻となりまっすぐ延びている。落石や浮石には特に注意。 |
5. | ゴーロを登りきると右に狭く急峻なゴルジュ。本流の左は小滝が連続する仏沢の核心部となり、その最奥には25m2段の大滝が黒々と見えている。核心部の小滝群はそれ自身高さ50mほどの滝と言って良く、水量が多いときには豪快なシャワークライムとなる。 |
6. | 大滝の下段は右岸から登り広いバンド(っていうより広場?)に出る。上段はコケさえなければ右岸から登れなくはないだろうが、一般には左(右岸)のルンゼを登路とする。ルンゼを大滝の落ち口付近の高さまで登り、右に1.5mほどの岩場を木の根頼りに強引に乗越して落ち口にトラバースする。 |
7. | 大滝の上には一つ小さな滑滝があり、更に50mほどのナメが続く。ナメが終わり大岩を乗越すと二俣で、右の本流はその後三たび延々と続くようなゴーロが延びている。歩きにくいゴーロにいい加減飽き飽きしてくるとまず左へ、そして右へS字状に曲がり源流の滝下に着く。ここでわずかながら水流も復活する。 |
8. | 源流の小滝群は標高差80mくらいで、それ全体が一つの滝と言ってもいいように階段状に続く。急峻だが見た目より岩は安定しており、比較的登りやすい。とは言えやはり落石には要注意。やがて朴木(ほうのき)の枯葉が目立ち出すと崩壊地の源流着。 源流からの登りは足下がズルズルで、砂山でも登ってるよう。すでに左右とも支稜が近いので、早めに右岸の稜線に逃げた方がよい。 |
9. | 支稜を登り上げると谷急山北稜のコブで、左にわずかで三等三角点のある谷急山山頂である。 |
10. | 北稜の下降路へは先の登って来たコブを越え、20分弱で標高1030m付近よりナイフリッジが始まる。このルートはよくこんなリッジに道を付けたなあと呆れるくらい。私が知る限り、道としてそれと分かるものでは西上州でもっとも険しい。標高730m付近まで約300m続く岩稜は、岩を渡る歩幅が上下に広いためかなり足にくる。浮石も多く細心の注意が必要なのでくれぐれも注意を怠らないこと。やがて裏谷急沢側に柱状節理の美しい岩峰が見え、更に正面に見える上信越道よりやや低くなる頃ようやく岩場から解放される。 |
11. | まだまだ急峻だがやっと安心できる尾根道となると、やがて左に杉植林が見え始め尾根には大きな岩塊が出てくる。ここで道なりに下るのではなく、左の杉林の中を下ってやがて左寄りに裏谷急沢出合に出る。 尚、杉植林に入らず道なりに下ると堰堤付近に出るが、この堰堤を登るのは困難なため、結局裏谷急沢出合まで戻らなければならない。出合には対岸に県道へ出る道があり、後は県道を20分くらい歩けば仏沢出合まで戻れる。 |
注記) 沢登りするくらいの岩慣れた人なら問題ないだろうが、それでも初心者や高所恐怖症の方が含まれる場合、北稜の下降ではザイルを出した方が無難。 |
裏谷急沢側から見た谷急山北稜 |
仏沢出合(左) 前方ガードレールの先が橋の欄干。左のガードレール脇より沢に入る。駐車スペースはご覧の通り。 第2堰堤と第3堰堤(右) 続いて現れる第2堰堤と第3堰堤。この後もう一つ第4堰堤が現れる。 |
5m滑滝(左) 長いゴーロが終わると現れる滑滝。この上部より滑が連続するようになる。 8m滑滝(中) こんな滑滝が連続して現れる。苔むしていてスリップに注意。 大岩の滝(右) 奥の6m滝がなかなか手強い。濡れてるときは無理せず大岩の右を巻く。 |
本流を示す赤ペンキ(左) 大岩の滝を越えるとゴーロの二俣。右俣側に左俣を本流と示す矢印がある。 急峻なゴーロ(中) 本流のゴーロは直線的に延び奥に行くほど急峻。落石、浮石には要注意。 ゴーロ中の滝(右) ゴーロ中の上部には2〜3個所4mほどの滝も現れる。 |
本流核心部下部(左) 小滝が連続し全体が一つの滝のよう。 本流核心部上部(右) 斜度がきつく最奥には2段の大滝が鎮座する。 |
大滝下段(左) 右岸を登るが水量多いときは濡れていて要注意。 大滝上段(右) 上段の直登は困難。右岸にあるルンゼを登ってトラバースして滝上に出る。 |
源流の小滝群(左) 大滝から長いゴーロの後小滝群に着く。急峻だが見た目ほど脆くはない。とは言え落石注意。 源流部(中) 急峻な源流の崩壊地。足下がズルズルで極めて歩きにくい。早めに左の稜線に逃げよう。 谷急山より浅間山(右) 山頂から残雪の浅間は指呼の間。 |
谷急山より裏妙義の岩峰群(左) 岩峰は左から西大星、赤岩、烏帽子岩、丁須の頭、見晴らし尾根。 谷急山より高岩と上信越道(中) 右に高岩、その下は上信越道の陸橋。左は軽井沢IC。 山頂直下の北稜下降路(右) 北稜の下降路は山頂からしばらく樹林を分ける。 |
北稜の岩稜(左) やがて現れる北稜の岩稜は凄まじい。ここの幅は1mくらい。写真の左だけでなく右側も切れている。 北稜の岩稜を振り返る(中) ちょっと下って振り返る。裏谷急沢側はずっと高さ40〜50mの絶壁が続く。 裏谷急沢の柱状節理の岩峰(右) 岩稜中頃の裏谷急沢側にある岩峰。柱状節理が美しい。 |
北稜下降点 北稜を真っ直ぐ降りてくると入山川岸のここに出る。左に見えてるのが堰堤(砂防ダム)。通常はこちらでなく裏谷急沢側に降りる。 |