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この項ではみなさんよりお問い合わせのあった多くの質問の中から、代表的なものにお答えしております。 詳しい説明等は各Qの参照ページもご参照ください。 |
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Q1 生分解性プラスチックって何なの? Q2 グリーンプラって何なの? Q3 崩壊性プラスチックって何なの? Q4 どれくらいで分解するの? Q5 何から作るの? Q6 安全性に問題は無いの? Q7 どういう製品になるの? Q8 製品をほしい(見たい)んだけど、どこで売ってるの? Q9 価格が高いって聞いたけどいくらくらいなの? Q10 材料がほしいんだけどどこに頼めばいいの? Q11 どれくらい使えるものなの?(耐久性は?) Q12 食器やトレイに使いたいけど、公的機関の許可は下りてるの? Q13 でも、食器などのサンプル写真をよく見かけるけどどうして? |
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Q1 生分解性プラスチックって何なの? 参照ページは こちら 使用中は普通のプラスチックのように使え、土中や水中に放置しておくと微生物の作用により水や二酸化炭素に分解していくプラスチックです。様々な種類があり、使用目的や用途に合わせ選択が可能です。代表的種類としてでんぷんから作られたものなどがあります。 育苗ポットの分解例 |
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Q2 グリーンプラって何なの? 生分解性プラスチックの日本国内における「愛称」です。数年前、旧通産省が一般から募集したコンクールの中から選出したもので、難しいイメージのあった「生分解性プラスチック」という言葉を、愛称という形で馴染みやすく置き換えたものです。 他に、バイオ技術や植物原料であることを強調した「バイオプラスチック」「ベジタブル・ベース・プラスチック」などという呼び名も一部で使用されていますが、いずれも生分解性プラスチックのことを差しています。 |
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Q3 崩壊性プラスチックって何なの? 参照ページは こちら 広い意味で使用される生分解性プラスチックの一種の呼び名です。 生分解性プラスチックは一般に、その成分すべてが完全に分解されるものを指して言われます(=完全分解型生分解性プラスチックと言うこともあります)。 しかし、崩壊性プラスチックは生分解性プラスチック成分の他に、一部微生物では分解されない一般プラスチック成分も含みます。そのため本来の生分解性プラスチックと区別する意味でこのように呼ばれています(=部分分解型生分解性プラスチックと言うこともあります)。 崩壊性プラスチックはこのような一般プラスチック成分を含むため、完全分解型と比べ成形加工性に優れ価格も安いという特徴を持っています。 尚、更に広い意味では生分解性プラスチック以外の光分解性プラスチックなども含めて、崩壊性プラスチックと言うこともあります。 |
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Q4 どれくらいで分解するの? 参照ページは こちら 生分解性プラスチックの種類によっても、環境条件によってもまったく異なり、一概に言い切ることは出来ません。 しかし、一般には農地や園芸土のような比較的肥えた黒土に埋めた状態で、フィルム状のものが数週間程度で分解すると言われています。 下写真は各種生分解性プラスチック製ポットで同時に放置試験を行い、およそ2カ月後の状態です。このように生分解性プラの種類、植物性フィラー(茶色っぽいもの)の混合量等により分解性は大きく異なります。 分解例 |
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Q5 何から作るの? 主に飼料用トウモロコシでんぷんから作られています。もちろんでんぷんを含むものであれば他の余剰穀物や芋類も原料となります。他に生ゴミや落ち葉(いわゆるバイオマスと呼ばれる資源)を発酵させた乳酸を原料としたり、タンパク質、キトサン(カニ、エビなど甲殻類の殻に含まれる)、石油から作る生分解性プラスチックもあります。 このように、従来プラスチックのように石油だけに頼るのではなく、原料の選択肢が広いことは生分解性プラスチックの大きな特徴の一つです。 |
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Q6 安全性に問題は無いの? 生分解性プラスチックは原料中に塩素やハロゲン類などの元素や毒物を含みません。 但し、一般にプラスチック中には加工性・耐熱安定性・難燃性・各種耐久性など市場の様々な要求に応えるよう、可塑剤・安定剤・難燃剤・顔料など、微量とは言えこちらも様々な化学物質を添加しています。生分解性プラスチック中にも本来の原料とは別に当然それら何らかの物質は含まれてると考えるべきで、それらの安全性も同時に保証されなければなりません。しかし、残念ながら企業秘密も有り、現時点で材料メーカーがそのすべてを明らかにしている訳ではありません。 したがって、生分解性プラスチックの種類すべてについて安全性が証明されている訳ではなく、実際に普及する上でこれらの情報開示は最大の課題と言っても言い過ぎではないでしょう。 また、環境負荷や総合的なエネルギー消費について、より良い物を求めるか、完璧を求めるかでも考え方は様々だと思います。 |
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Q7 どういう製品になるの? 現在はゴミ袋や農業用マルチシートなど、主にフィルム関係で普及が始まっています。将来は梱包材や発泡スチロールの代替え、どうしても1回で使い捨てとなってしまう医療用品やおむつなども展開市場となります。その他、数週間で交換が必要なもの。たとえば歯ブラシやフィルター類なども一部実用化されています。 更に最近では乳酸系生分解性プラスチックをベースに、パソコンやAV機器など機能性部品などへの応用も始まっています。 フィルム使用例(水切り袋) ソニー/ウォークマン(登録商標) : 筐体(外装ケース)に生分解性プラスチックを使用 |
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Q8 製品をほしい(見たい)んだけど、どこで売ってるの? 現状ではまだまだ市場で見かけることはけっこう難しいかもしれません。 一般には有名ホームセンター等の小物類コーナーなど探してみてください。歯ブラシやカミソリなどの水回り用品、ゴミ袋等で見つけることが出来るかもしれません。また有名ホテルなどでは各部屋の備品として、洗顔セットなどで置かれていることがあります。 ホテル備品の例(上から歯ブラシセット/櫛/カミソリ) |
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Q9 価格が高いって聞いたけどいくらくらいなの? 材料費として従来プラスチックの3倍以上。成形加工についても従来プラの常識が必ずしも通用せず、まだまだ歩留まりの悪さを抱えています。したがって、製品になっても多くは5倍以上となってしまうのが普通でしょう。残念ながら価格的に現状の生分解性プラスチックが不利なことは否めません。 |
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Q10 材料がほしいんだけどどこに頼めばいいの? 参照ページは こちら 生分解性プラスチックはまだ材料の流通ルートが整備されておらず、各メーカーや地方によっても取り組みは様々です。したがってほしいと思う材料が決まった場合、そのメーカーに直接問い合わせるのが最も早道でしょう。最近は各メーカーともWebサイトを公開しておりますので、↑の当方リンクなどもご参照の上お問い合わせください。 尚、自分の地方の取り扱い先を紹介してもらう他、場合によってはメーカー直送となる場合も多々あります。 |
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Q11 どれくらい使えるものなの?(耐久性は?) Q4とも関係しますが、生分解性プラスチックの開発は廃棄時いかに早く分解させるかに主眼がおかれています。したがって、現状で耐久性への言及を求められても、まず希望するような回答はどこからも得られないでしょう。水やガス、各種溶剤、酸・アルカリなど、さまざまな条件で耐えると言われるものも多々有ると思いますが、他のプラスチックでもそうであるように、あくまで試験結果の公表であって保証値ではありません。 一般に分解性という特質を持つ以上、他のプラスチックと比較した耐久性には劣ると思って差し支えないでしょう。実際に何らかの製品化を行う際はその使用目的に則して試験を行い、製造者(販売者)自ら使用条件をはっきり見極めておく必要があります。 生分解性プラスチックの中には保管方法によっても劣化が徐々に進むものもあり、少なからず余裕を持った商品仕様とすべきでしょう。 |
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Q12 食器やトレイに使いたいけど、公的機関の許可は下りてるの? 「使ってよろしい」などという、いわゆるお墨付きはありません。今後も食品容器や食器類などへの使用許可や認可という形で、そのような発表が特定の生分解性プラスチックに対して行われることは無いでしょう。 国など公的機関はJISやJASに代表されるような各々の目的に応じた規格の検討や作成は行いますが、その規格を満足したからといって「作っていいよ、売っていいよ」とは言いません。あくまで規格に対して合格か不合格かを通知するだけです。元来このような規格は最低限の目標を定めるもので、製品化して市場に出すかどうかはそれら(安全性、耐久性、生産性、コスト等々)を見極めた上での製造者(販売者)の判断です。 特にPL法施行以来、公的機関がお墨付きを与えると言うことは責任を分担することともなりかねず、まずあり得ないと考えて良いでしょう。何かあった時の「責任の所在はすべて製造者に降りかかる」、と思って対処した方が良いと思われます。 2003年1月30日追記 最近、小泉首相の意向により省庁の食堂で使用される食器や全国公立小中学校の給食食器を、生分解性プラスチック製に変えていこうという報道がありました。業界にとっては食器分野で国が普及の先鞭を担うという願ってもない話ですが、ここでは単に利用すると言うだけで安全性などのお墨付きとは違います。仮に何らかの問題が起きた場合、責任の所在は利用者ではなく製造者にあることは明らかです。但し、先例としての効果は大きいと思われ、今後加速度的に普及する可能性は出てきました。 報道の詳細は ⇒ こちら |
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Q13 でも、食器などのサンプル写真をよく見かけるけどどうして? 食器類などへの生分解性プラスチック使用の可否はQ12の通りですが、確かにサンプル写真というとその種の水回り製品を良く見かけます。これは生分解性プラスチックが食器類に向く向かないではなく、その種の製品がパッと見でみなさんに分かってもらえる形状をしているからと思われます。しかも形が比較的単純なので金型代も安い。 たとえば何らかの製品に内蔵される、または組立物の一部部品を生分解性プラスチックにしたよと写真を載せても、その部品が何の目的に使うものかまで業界関係者でもなければ普通分かりません。見る側の方に訴えかけるものが薄いのです。おそらく記憶にも残らないでしょう。 しかし、それが良く見る丸い皿の形をしていれば誰が見ても皿だし、スプーンの形をしていれば誰が見てもスプーンだと分かります。生分解性プラスチックサンプルと呼ばれるカタログ写真など良く見ると、多くはパッと見で何となく用途が分かるような物であることに気づかれるでしょう。皿を見たよ、スプーンを見たよ、ポットを見たよと、記憶に残るのです。その様子を誰かに話す時、「お皿」「スプーン」などと具体的な名前が出るはずです。 |